東西で夏の“オペラ競演”

 7月18日から22日まで東京・上野の東京文化会館では、東京二期会がウェーバーの歌劇《魔弾の射手》を上演しているが、ほぼ同時期となる7月20日から29日まで、兵庫・西宮の兵庫県立芸術文化センターでも同作品が上演されている。

 東京二期会はハンブルク州立歌劇場との共同制作で、鬼才ペーター・コンヴィチュニーの演出によるもの。東京二期会の気鋭の若手歌手陣を中心に、悪魔ザミエル役に元宝塚歌劇団トップスターの大和悠河を起用、台詞を日本語に置き換え(歌詞は原語。字幕は日本語と英語)、コンヴィチュニーならではの数々の仕掛けが施されているのが特徴だ。

東京二期会《魔弾の射手》より
中央)嘉目真木子(アガーテ)
Photo:M.Terashi/TokyoMDE

東京二期会《魔弾の射手》より
左から)ヴィオラ・ソロ:ナオミ・ザイラー、冨平安希子(エンヒェン)、嘉目真木子(アガーテ) Photo:M.Terashi/TokyoMDE

東京二期会《魔弾の射手》より
左から2番目)大和悠河(ザミエル) Photo:M.Terashi/TokyoMDE

  一方、兵庫は毎年全公演が完売またはほぼ完売となるなど根強い人気を誇る佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。マックス役にトルステン・ケール、クリストファー・ヴェントリスと、世界の歌劇場でワーグナー・テノールとして活躍する歌手を揃え、海外でも活躍する高田智宏、東京二期会の小森輝彦、妻屋秀和、藤原歌劇団の小林沙羅らが脇を固める。こちらは、台詞もふくめ原語(ドイツ語)による上演。

 国内で同じオペラ作品がほぼ同時期に上演されるのは稀で、それぞれに特色ある上演として話題を集めているから、聴きくらべをしてみるのも一興だろう。

佐渡裕プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》より
左から)高田智宏(カスパール)、トルステン・ケール(マックス)
撮影:飯島隆 写真提供:兵庫県立芸術文化センター

佐渡裕プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》より
左から)ジェシカ・ミューアヘッド(アガーテ)、トルステン・ケール(マックス)、小林沙羅(エンヒェン)
撮影:飯島隆 写真提供:兵庫県立芸術文化センター

佐渡裕プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》より
左から)ジェシカ・ミューアヘッド(アガーテ)、小林沙羅(エンヒェン)
撮影:飯島隆 写真提供:兵庫県立芸術文化センター

佐渡裕プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》より
撮影:飯島隆 写真提供:兵庫県立芸術文化センター

【Information】
東京二期会オペラ劇場 
ウェーバー《魔弾の射手》(新演出)

指揮:アレホ・ペレス 
演出:ペーター・コンヴィチュニー
管弦楽:読売日本交響楽団 
合唱:二期会合唱団
ヴィオラ・ソロ:ナオミ・ザイラー

2018年7/18(水)18:30、7/19(木)14:00、7/21(土)14:00、7/22(日)14:00 東京文化会館

出演
オットカール侯爵:大沼 徹(7/18、7/21) 藪内俊弥(7/19、7/22)
クーノー:米谷毅彦(7/18、7/21) 伊藤 純(7/19、7/22)
アガーテ:嘉目真木子(7/18、7/21) 北村さおり(7/19、7/22)
エンヒェン:冨平安希子(7/18、7/21) 熊田アルベルト彩乃(7/19、7/22)
カスパール:清水宏樹(7/18、7/21) 加藤宏隆(7/19、7/22)
マックス:片寄純也(7/18、7/21) 小貫岩夫(7/19、7/22)
隠者:金子 宏(7/18、7/21) 小鉄和広(7/19、7/22)
キリアン:石崎秀和(7/18、7/21) 杉浦隆大(7/19、7/22)
ザミエル:大和悠河(全日)

問:チケットスペース03-3234-9999 http://www.ints.co.jp/ 
  二期会チケットセンター03-3796-1831 http://www.nikikai.net/

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018
ウェーバー《魔弾の射手》(新演出)

指揮:佐渡裕
演出:ミヒャエル・テンメ
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団

2018年7/20(金)14:00、7/21(土)14:00、 7/22(日)14:00、 7/24(火)14:00 、7/25(水)14:00 、7/27(金)14:00、 7/28(土)14:00 、7/29(日)14:00 芸術文化センター KOBELCO大ホール

出演
オットカー侯爵:小森輝彦(7/20、7/22、7/25、7/28) 町 英和(7/21、7/24、7/27、7/29)
クーノー:ベルント・ホフマン(7/20、7/22、7/25、7/28) 鹿野由之(7/21、7/24、7/27、7/29)
アガーテ:ジェシカ・ミューアヘッド(7/20、7/22、7/25、7/28)カタリーナ・ハゴピアン(7/21、7/24、7/27、7/29)
エンヒェン:小林沙羅(7/20、7/22、7/25、7/28) マリア・ローゼンドルフスキー(7/21、7/24、7/27、7/29)
カスパー:高田智宏(7/20、7/22、7/25、7/28)ジョシュア・ブルーム(7/21、7/24、7/27、7/29)
マックス:トルステン・ケール(7/20、7/22、7/25、7/28)クリストファー・ヴェントリス(7/21、7/24、7/27、7/29)
隠者:妻屋秀和(7/20、7/22、7/25、7/28)斉木健詞(7/21、7/24、7/27、7/29)
キリアン:清水徹太郎(全日)
ザミエル:ペーター・ゲスナー(全日)

問:芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255
http://www1.gcenter-hyogo.jp

 また、滋賀・大津の滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールでは、びわ湖ホール・新国立劇場提携オペラ公演として7月21日、22日、《トスカ》が上演される。こちらは、去る7月1日から新国立劇場で上演された舞台の完全引っ越し公演となる。
 びわ湖ホール公演を前に、新国立劇場公演でも同劇場合唱団とびわ湖ホール声楽アンサンブルが共演したが、東西を代表する劇場付合唱団の共演がびわ湖ホールでも実現する。

 新国立劇場の《トスカ》は4面舞台をフルに活用した壮大な舞台が特徴だが、同じく4面舞台を配するびわ湖ホールの舞台機構が遺憾なく発揮される舞台なだけに、グランド・オペラの醍醐味を味わう、またとない機会となる。

客席よりも広い、びわ湖ホールの舞台
写真提供:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

搬入された大量の舞台装置
写真提供:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

4面舞台のバトンやスライダーなど、舞台機構をフル活用する
写真提供:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

新国立劇場《トスカ》2018年7月公演より
撮影:寺司正彦 写真提供:新国立劇場

新国立劇場《トスカ》2018年7月公演より
キャサリン・ネーグルスタッド(トスカ)
撮影:寺司正彦 写真提供:新国立劇場

新国立劇場《トスカ》2018年7月公演より
撮影:寺司正彦 写真提供:新国立劇場

 
■びわ湖ホール・新国立劇場提携オペラ公演
プッチーニ《トスカ》

2018年7/21(土)15:00、22(日)15:00びわ湖ホール大ホール

指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ
演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ
出演:トスカ:キャサリン・ネーグルスタッド
   カヴァラドッシ:ホルヘ・デ・レオン
   スカルピア:クラウディオ・スグーラ
   アンジェロッティ:久保田真澄
   スポレッタ:今尾 滋
   シャルローネ:大塚博章
   堂守:志村文彦
   看守:秋本 健
   羊飼い:前川依子

合唱:新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱:大津児童合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

問:びわ湖ホールチケットセンター
077-523-7136
https://www.biwako-hall.or.jp

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〜東西《魔弾》の競演、この夏実現!
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若きディーヴァが《金閣寺》と《魔弾の射手》でみせる新境地
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●WEBぶらあぼANNEX東京二期会特設サイト
https://ebravo.jp/nikikai/