【CD】マーラー:交響曲第7番「夜の歌」 /アンドレア・バッティストーニ&東京フィル

 バッティストーニにとって、「夜」とは漆黒の闇ではなく、必ず明るい朝が訪れるもの。そこでうごめくのは魑魅魍魎ではなく人間の愛憎――彼の指揮で「夜の歌」を聴き、そんな想像が頭をよぎる。暗い情念や不安定な情緒が目立つ異形の大作が、実はポジティブな感情や愛に満ちた音楽と気づかされる。良い意味でレスピーギの交響詩すら思わせる、華麗なサウンドで本作が構築されるのは発見。細かいモチーフもことごとく“歌”になる見事な彫琢で、ライブでそれを具現化した東京フィルの高精度ぶり、各パートの表現意欲の高さもすばらしい。録音で長所が伝わりやすい快演。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年1月号より)

【information】
CD『マーラー:交響曲第7番「夜の歌」 /アンドレア・バッティストーニ&東京フィル』

マーラー:交響曲第7番「夜の歌」

アンドレア・バッティストーニ(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団

収録:2024年11月、サントリーホール(ライブ)
日本コロムビア
COCQ-85650 ¥3500(税込)


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。