
右:鳥羽咲音 ©Julia Wesely
上岡敏之と読響との相性は抜群だ。指揮者の練りに練った表現をオーケストラが見事なまでに音にし、濃厚な演奏を繰り広げる。2025年1月、ショスタコーヴィチの交響曲第11番における壮絶なパフォーマンスも記憶に新しい。
読響とはドイツ作品を中心に、そこにロシア作品を組み入れていた上岡。2月の演奏会では、プログラム前半にチャイコフスキーの2曲、後半はフランス作品を配するのがちょっと目新しい。
チャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」は、持ち前のうねるような劇性が堪能できるはずだ。そして、同じ作曲家の「ロココ風の主題による変奏曲」では、鳥羽咲音をソリストに迎える。読響とは、2024年にエルガーのチェロ協奏曲で共演した、ウィーン生まれの若いチェリストだ。それぞれの変奏を巧みに描き分けてくれるだろう。
後半は、フォーレの付随音楽「ペレアスとメリザンド」組曲でスタート。上岡はピアニストとして読響メンバーとの室内楽演奏を長らく続け、フォーレやショーソンなどフランス作品も手がけた。そのときのような巧みな陰影感を湛えた演奏を今回も期待したい。
そして、最後はラヴェルの「ボレロ」。新日本フィルとの演奏会(フェスタサマーミューザ2016)で、この曲を取り上げたことがある上岡だが、国内オーケストラの定期公演での披露は初めてだろう。きっちりとコントロールを利かせたリズムの上に名うての奏者たちの妙技が連なっていき、鮮烈なフィナーレが待ち受けるはずだ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年1月号より)
上岡敏之(指揮) 読売日本交響楽団
第43回 大阪定期演奏会
2026.2/19(木)19:00 大阪/フェスティバルホール
第284回 土曜マチネーシリーズ
2026.2/21(土)14:00
第284回 日曜マチネーシリーズ
2026.2/22(日)14:00
東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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