大田区民ホール・アプリコ開館20周年記念事業 都響 × アプリコ 小林研一郎 哀愁のドヴォルザーク

ホールを満たすマエストロの熱きサウンド


 蒲田駅(JR・東急)から徒歩数分という好立地にある「大田区民ホール・アプリコ」が、今年開館20周年を迎えた。大・小ホールに展示室やスタジオも併設し、大田区民にとどまらず多くの利用者がいる文化施設である。なかでも大ホールは、聴衆にも演奏者にも評価の高い豊かな音響をもち、名演奏家を招いた独自性の高い主催企画の数々も好評で、都内を代表するホールの一つとなっている。
 そして10月には、アプリコ開館20周年を記念して、「都響 × アプリコ 小林研一郎 哀愁のドヴォルザーク」と題された公演が開催される。“炎の指揮者”小林研一郎が東京都交響楽団と共に、得意とするドヴォルザークの名曲2作を聴かせてくれるのだ。チェロ協奏曲では、2017年エリーザベト王妃国際音楽コンクールのチェロ部門第2位を受賞した岡本侑也をソリストに迎える。1994年生まれ、2011年には10代にして日本音楽コンクールを制したほどの逸材で、昨年のエリーザベトの活躍以来、ますます注目を集めている若き名手だ。岡本のフレッシュな感性と技巧で聴かせるドヴォルザークは楽しみだし、熱き巨匠との共演・競演で、新しい名演が実現するのでは。そしてメインの交響曲第8番は、小林の作品への愛情と都響の献身的な名技が融合した熱演となるのは間違いない。マエストロは持ち前の情熱に加えて円熟味も増し続けていて、アプリコの好環境で聴くいまの小林のドヴォルザークは、記念のコンサートという華やぎも加えて、すばらしい音楽体験になるだろう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年8月号より)

2018.10/6(土)15:00 大田区民ホール・アプリコ
問:チケット専用電話03-3750-1555 
http://www.ota-bunka.or.jp/