【CD】戦没学生のメッセージ 〜戦争に散った若き音楽学徒たち

 東京藝大が創立130年記念事業として行った戦没学生の作品の蘇演・初演の記録。収録された4名は1921〜23年の生まれ、終戦直前後に病死・事故死・戦死・自決している。才能は未だ蕾で開花しきっているわけではないが、各人各様の個性がある。ピアニストでもあった葛原守は清々しい抒情を歌い、鬼頭恭一は古典的なセンスをわが物にしている。草川宏は歌曲やソナタで骨太の表現を模索し、村野弘二はフランス近代音楽の影響下で煌びやかな旋律を紡いだ。生きていたら後にどんな音楽を書いただろう。遺族の協力を仰ぎ各所から資料を集め、志半ばで散った学徒の譜を音にした関係者の努力に敬意を表したい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年9月号より)

【information】
CD『戦没学生のメッセージ〜戦争に散った若き音楽学徒たち』

葛原守:歌曲「犬と雲」「かなしひものよ」/鬼頭恭一:「鎮魂歌」/草川宏:ピアノソナタ第1番/村野弘二:オペラ《白狐》より第二幕〈こるはの独唱〉 他

澤和樹(ヴァイオリン) 迫昭嘉 秋場敬浩 小鍛冶邦隆(以上ピアノ) 中田恵子(オルガン) 河村玲於(オーボエ) 永井和子(メゾソプラノ)金持亜実(ソプラノ) 他

収録:2017年7月、東京藝術大学奏楽堂(ライヴ)
ディスク クラシカ
DCJA-21039 ¥2500+税

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