フランス音楽などの瑞々しい響きを自然とともに体感
夏の音楽祭として長い歴史を持つ草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル(音楽監督:西村朗)は今年、39回目を迎える。アカデミーで指導する名手たちが、ここでしか聴けない組み合わせと選曲でコンサートを行うのは、常に話題となっている。
今年の注目コンサート。まず、サシコ・ガヴリロフ(ヴァイオリン)とヴォルフガング・ベッチャー(チェロ)のリサイタル(8/20)。共にベルリン・フィルで活躍したふたりがそれぞれ演奏するのは、ブラームスの「雨の歌」と「チェロ・ソナタ第2番」。ピアノはガヴリロフの信頼篤い岡田博美。そしてヴァイオリンとチェロのデュオでコダーイの「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」が演奏されるのが聴きものだ。巨匠ふたりの熱い交感に期待が高まる。
今年のフェスティヴァルのテーマは「自然が創造する音楽」だが、そのテーマに沿ったコンサート「フランス音楽と自然」(8/22)にも名手が集合。2018年が没後100年となるドビュッシーの管弦楽曲「海」のピアノ三重奏版や、プレイエルの「五重奏曲〜フルート、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロための」が取り上げられる。クリストファー・ヒンターフーバー(ピアノ)、トーマス・インデアミューレ(オーボエ)等の出演。ドビュッシーのほかに、フランスものでは合唱とオーケストラのための作品も用意されている。今年はグノーの生誕200年にあたるので、グノーの「コラール・ミサ曲」と「レクイエム」(フル・オーケストラ版)が演奏されるが、オペラ作曲家として有名なグノーの知られざる一面を知るコンサートとなりそうだ(8/26)。
「管楽アンサンブルの夕べ」(8/29)には管楽器の注目の奏者が集結。グノーの「小交響曲」(フルート1、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各2による管楽アンサンブル)をはじめ、武満徹の「ガーデン・レイン」(金管アンサンブルのための作品)やウェーベルンの「弦楽四重奏のための緩徐楽章」(トロンボーン四重奏版)など、多彩な管楽器の組み合わせが楽しめる。チェコ・フィルで活躍する注目の若手カテジナ・ヤヴールコヴァー(ホルン)も参加する。
「クロージング・コンサート」(8/30)では、ストラヴィンスキー「春の祭典」(4手連弾版)、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「四季」、チャイコフスキー「四季」が並ぶ。ガヴリロフら4人のヴァイオリニスト、ブルーノ・カニーノ、高橋アキなどのピアニストほかの共演で聴けるという豪華なコンサート。紹介したコンサートの会場はすべて草津音楽の森国際コンサートホールである。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2018年7月号より)
2018.8/17(金)〜8/30(木)各日16:00 草津音楽の森国際コンサートホール
問:草津アカデミー・チケットサービス0120-949-932
http://kusa2.jp/