大島 亮 ヴィオラ リサイタル 2018 Vol.5

俊英奏者が挑む“5つの個性”

 ヴィオラ奏者の大島亮は、東京音楽コンクール第1位受賞以降の活躍に加え、現在は神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席奏者として合奏の要も務めており、30代半ばとなるいま、着実に深みを増している。
 大島の5回目となるリサイタルは、共演を重ねる草冬香(くさふゆか)のピアノと共に、異なる国の作曲家たちの5作品を集めて。まず、モーツァルトに師事したフンメルの「ファンタジー」。モーツァルトのオペラからの引用が楽しい、ユニークな佳品だ。そして、ペンデレツキの「カデンツァ」と武満徹の「鳥が道に降りてきた」と、20世紀後半作品の対比でヴィオラの表現の幅広さを体感し、20世紀前半イギリスのボーエンの「ファンタジー」では哀感を味わう。最後はヴィオラ音楽の金字塔、ショスタコーヴィチのソナタ。晩年の孤高の境地を数々の引用や切り詰めた音に込めた傑作に、大島がついに対峙する。「幻想」に「引用」といったキーワードも浮かぶプログラムで、“5つの個性”にどう挑むのか、その覚悟を見届けたい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年2月号より)

2018.2/5(月)19:00 芦屋/アマックホール
2018.2/12(月・休)15:00 トッパンホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617 
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