“伝統”と“精神性”を重視した意欲的な選曲
2010年よりフランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団首席チェロ奏者を務め、ソリストとしても活躍中のチェリスト中木健二。パリ国立高等音楽院、ベルン芸術大学の両校を首席で卒業、05年ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール優勝をはじめ、受賞も多数。フランスを拠点に音楽を深め、紀尾井ホール室内管弦楽団メンバーなど日本での活動も盛んな中木が、3月に札幌と東京で「〜Éternité 永遠への憧れ〜」と題するリサイタルを開催する。
中木は「クラシック音楽は伝統を重んじることで品格を保ってきました。そういった伝統と、そこに見出される共通性と精神性を表現できるプログラミングに憧れます」と語り、伝統の中で個性的なスタイルを確立してきた作曲家の作品を集めたという。2回共通の作曲家はベートーヴェン、ドビュッシー、フォーレ、メシアン。札幌ではメンデルスゾーン、東京ではブルッフとR.シュトラウスが前半に加わる。後半に組まれた得意のフランスものについては「音楽の永遠性と精神性=“作曲家の祈り”に耳を傾けます」とのことで、ドビュッシーとフォーレの晩年の名ソナタ2作に続き、メシアン「世の終わりのための四重奏曲」より「イエスの永遠性への賛歌」が異彩を放つ。
ピアノは、やはりパリ国立高等音楽院のピアノ伴奏科を首席卒業した松本望。中木のデビューCD『美しき夕暮れ』でも共演した松本とともに披露する、こだわりのプログラム。“伝統と個性”を両立した名作曲家たちのメッセージを、中木がどう伝えてくれるのか、大いに注目したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年2月号より)
2018.3/7(水)19:00 札幌/ふきのとうホール
問:オフィス・ワン011-612-8696
2018.3/9(金)19:00 Hakuju Hall
問:Eアーツカンパニー info@earts.jp
http://earts.jp/