アレクサンドル・ラザレフ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

巨匠ならではのエキサイティングな体験

アレクサンドル・ラザレフ C)山口 敦

 今秋、猛将アレクサンドル・ラザレフが日本フィルに帰ってくる。首席指揮者時代から日本フィルを鍛え上げ、ライヴではその能力を限界まで引き出した白熱の演奏を重ね、桂冠指揮者となってからも定期的に登壇を続けている。
 10月の東京定期演奏会は「ラザレフが刻むロシアの魂」シリーズで、彼が絶賛を惜しまないグラズノフの3回目。師弟作曲家による対照的な交響曲がカップリングされる。
 前半は、グラズノフの交響曲第4番。哀感に満ちた冒頭の旋律から喜びが爆発するフィナーレまで、西欧的で品の良い作曲技法ながら、ロシアの自然や風景が浮かんでくるような名品。後半は、グラズノフが教鞭を執ったレニングラード音楽院での教え子であるショスタコーヴィチが、音楽院卒業作品として作曲した交響曲第1番。現代的な音響、斬新な技法にあふれ、10代最後(!)の才気ほとばしる傑作だ。ラザレフと日本フィルのショスタコーヴィチは格別で、毎回作品の本質を抉り出す凄絶な名演を実現してきた。本公演では2曲の関係性も含め、どんな体験ができるのか、楽しみでならない。
 筆者はラザレフのリハーサルを見学する機会があったが、「1秒も無駄にしない」は誇張ではない。時計が終了時刻に変わる瞬間まで猛烈なテンションで練習を続け、隅々まで緻密かつ徹底的に磨き上げる様は圧巻。真摯で厳しいリハーサルを重ねる同コンビの演奏会は毎回が一大イベントとなるが、彼らの熱いロシア音楽を堪能できるとなれば、今回も間違いなく必聴の公演である。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2017年9月号より)

第694回 東京定期演奏会 ラザレフが刻むロシアの魂 Season Ⅳ グラズノフ3
2017.10/27(金)19:00、10/28(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
http://www.japanphil.or.jp/

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