マルクス・シュテンツ(指揮) 読売日本交響楽団 「第九」

確固としたベートーヴェン像を期待

マルクス・シュテンツ ©Molina Visuals
マルクス・シュテンツ ©Molina Visuals
 今年も「第九」のシーズンが近づいてきた。12月になると毎年あらゆるオーケストラが「第九」を演奏するが、聴く側にとって大きな楽しみとなるのが、さまざまな指揮者との出会い。どこの楽団も、この人でこそ「第九」を、と思うような実力者を呼んでくる。一方、指揮者の側にとっても、欧米では演奏機会の限られる「第九」を振れるのは貴重な機会。そんな両者の想いがぶつかり合って、ときには予想もしなかった印象的な演奏が飛び出すのが「第九」の魅力ではないだろうか。
 今年、読響の「第九」を指揮するのは、ドイツのマルクス・シュテンツ。現在オランダ放送フィルの首席指揮者やボルティモア交響楽団の首席客演指揮者といったポストにある。録音では首席指揮者を務めたケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団とのマーラーの交響曲全集などで話題を呼んだ。2010年にはN響でマーラーの「復活」を振って、スケールの大きな演奏が好評を博している。では読響との間にはどのような化学反応が起きるのだろうか。本格派の王道を行くのか、大胆なアプローチを披露してくれるのか。実績豊富な指揮者だけに、確固としたベートーヴェン像を提示してくれるはずである。
 さらに指揮者に加えて「第九」で大切なのが合唱。定評ある新国立劇場合唱団が共演する。最高水準の合唱団が歌う「歓喜の歌」はどんな喜びをもたらしてくれるのだろうか。アガ・ミコライ(ソプラノ)、清水華澄(メゾソプラノ)、デイヴィッド・バット・フィリップ(テノール)、妻屋秀和(バリトン)と強力な独唱陣ともども、役者がそろった。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2016年11月号から)

12/17(土)、12/25(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール 12/18(日)14:00 横浜みなとみらいホール
12/20(火)、12/21(水)各日19:00 サントリーホール 12/22(木)19:00 フェスティバルホール
12/26(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp