アジア オーケストラ ウィーク 2016

個性豊かな熱いサウンドを楽しむ4日間


広大で多様な文化が息づくアジア。そのアジアの大きさをオーケストラを通して実感できるのが「アジア オーケストラ ウィーク」(AOW)である。2002年にスタートして、今回で15年目。これまでにアジア太平洋地域の各国から、15ヵ国46団体のプロ・オーケストラが出演してきた。
今回はタイのバンコク交響楽団、韓国のチャンウォン市立交響楽団、そしてホスト・オーケストラとしてAOW初登場のセントラル愛知交響楽団の3団体が出演する。東京オペラシティ コンサートホールを舞台に、それぞれのオーケストラが豊かな個性を発揮してくれることだろう。また、セントラル愛知交響楽団とバンコク交響楽団は、宮城県多賀城市で合同演奏会を開く。
東京公演でまず最初に登場するのはセントラル愛知交響楽団。1983年に発足し、30余年にわたって意欲的な活動を続けている。首席客演指揮者の齊藤一郎が指揮台に立ち、ユン・イサン(尹伊桑)の「弦楽のためのタピ」、芥川也寸志の交響三章「トリニタ・シンフォニカ」、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラサード」という、アジアを意識したプログラムを披露する。AOWでは韓国の楽団がこれまでにもたびたびユン・イサン作品を取りあげているが、日本のオーケストラが演奏するのが興味深い。邦人作品として芥川也寸志の躍動感あふれる「トリニタ・シンフォニカ」が演奏されるのも楽しみ。「シェエラザード」はヨーロッパから見た東洋趣味といったところだろうか。
バンコク交響楽団は1982年に民間の資金で設立されたオーケストラで、AOWにはすでに第1回に参加している。ロッテルダム・フィル他で首席トロンボーン奏者を務め、指揮者に転身したミシェル・ティルキンが指揮を務める。曲はベートーヴェンの序曲「コリオラン」、ハイドンの協奏交響曲変ロ長調、ドヴォルザークの交響曲第8番。「微笑みの国」のオーケストラは、本格派ど真ん中のプログラムを組んだ。
チャンウォン市立交響楽団はプサンに近い韓国南部のチャンウォンを本拠とする楽団。音楽監督のパク・テヨンの指揮のもと、ボロディンの交響詩「中央アジアの草原にて」、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(独奏:ボムソリ・キム)、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を演奏する。おなじみの名曲も未知のオーケストラで聴けば新鮮な驚きがあるはず。
今年のAOWではどんな発見が待っているだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2016年10月号から)

10/5(水)セントラル愛知交響楽団
10/6(木)バンコク交響楽団
10/7(金)チャンウォン市立交響楽団
各日19:00
東京オペラシティ コンサートホール
問:日本オーケストラ連盟03-5610-7275


セントラル愛知交響楽団・バンコク交響楽団 合同演奏会
10/4(火)19:00 多賀城市民会館
問:多賀城市文化センター022-368-0131
http://www.orchestra.or.jp