若きヴィルトゥオーゾ、河井勇人(ヴァイオリン)が多彩な演目で示す技巧と表現の極限

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 東京藝術大学を経てベルリンのハンス・アイスラー音楽大学修士課程に学ぶヴァイオリニスト、河井勇人が意欲的なリサイタルを開く。2021年ヴィクトル・トレチャコフ国際ヴァイオリンコンクール第1位はじめ数々の入賞歴を誇り、まだ日本での活動歴は多くないものの、若きヴィルトゥオーゾとして注目を集め始めている俊英である。

 今回は同じく東京藝大で学んだ吉武優のピアノと共に、持ち味を活かすプログラムを組んだ。まず、パガニーニ「24の奇想曲」より著名な第24番ほか、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」。無伴奏の技巧的名品を並べて、河井のテクニックと自信が示される。さらにエルンスト「夏の名残のばら(庭の千草)による変奏曲」は、より多彩な奏法が要求されるヴィルトゥオーゾ作品。そして、プーランクのヴァイオリン・ソナタ。第2次大戦中に作られ、1936年に銃殺された詩人ロルカに献呈されたソナタで、洒脱さやユーモアは抑えられ、悲しみや怒りの感情の際立つ傑作だ。いまこの曲を取り上げる思いも汲みながら、ヴァイオリンならではの表現力を堪能する時間になる。

 さらに、読響の契約首席コントラバス奏者を務める桑原孝太朗がゲスト出演。ボッテジーニ「グラン・デュオ・コンチェルタンテ」が演奏される。ヴァイオリンとコントラバスのデュオがソリストという珍しい作品で、桑原のコントラバスの名技と共に、河井のつくるアンサンブルの喜びも注目となる。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2026年10月号より)

河井勇人 ヴァイオリン・リサイタル
2026.10/7(水)19:00 TOPPANホール
問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
https://www.pacific-concert.co.jp


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。