「マーラー・フェスティバル」での3番・4番から1年後、その意義を問い直すかのように5番に臨んだルイージとN響。持ち前の技術の高さに表現意欲の強さが加わったN響を、ルイージは手綱を締めつつ熱くドライブ。多面的な音楽が次々に展開する本作の「まとまらない魅力」を「小さくならずにまとめる」手腕も光る。3楽章の落ち着いた流れの中での訛りのきいたモチーフリズム、烈しく進む2楽章の再現部での強烈な「溜め」のように、いざとなればケレン味たっぷりの表現も辞さないルイージ「らしさ」もいい。熱狂的な拍手まで、創立100年のN響を記録するライブ録音。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年10月号より)
【information】
SACD『マーラー:交響曲第5番/ファビオ・ルイージ&N響』
マーラー:交響曲第5番
ファビオ・ルイージ(指揮)
NHK交響楽団
収録:2026年4月、サントリーホール(ライブ)
ソニーミュージック
SICC 19098 ¥3850(税込)

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。


