注目の若きコントラバス奏者・水野斗希がHakuju Hallの名物シリーズに登場!

©Ayane Shindo

 若い才能の登場で、いま低弦界隈が熱い。コントラバス奏者・水野斗希がHakuju Hallの名物企画「リクライニング・コンサート」に出演する(ピアノ:小澤佳永)。3年前の東京音楽コンクール弦楽部門で史上初めてコントラバスで第1位を受賞した新星だ。

 この楽器の個性と可能性を広く提示する意欲的なプログラムは、コントラバス出身の名指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーが作曲した「4つの小品」から。

 「コントラバスといえばクーセヴィツキー。彼のコントラバス協奏曲とこの小品は大切なレパートリーです。楽器の特徴を生かしたパッセージが際立つように弾きたいと思っています」

 そしてサン=サーンスのチェロ曲「アレグロ・アパッショナート」とプーランクの歌曲「愛の小径」に続き、メインはフランクの「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」。いずれも「コントラバスの良さを生かせる」という視点の選曲だ。

 「コントラバスで弾くフランクのソナタをコンサートで聴く機会はなかなかないでしょう。重厚に渋く歌う、落ち着いた音色の魅力をぜひお聴きください。さらに、コントラバスの魅力は低い音ばかりではありません。かなり高い音も出てくるので、その意外と広い音域も楽しんでいただけたらと思います」

 もちろん低弦楽器のソロで旋律を弾くゆえの苦心もある。

 「音が低いので、旋律が聞こえにくいことが多いです。オーケストラの中で弾く時よりも駒寄りを弾いて、発音をはっきりさせたりしています。またピアノと音域が近くなることも多いので、バランスには特に気をつけています」

 楽器が大きいぶん、弦が長く、音程間の距離も広い。速いパッセージは大変そうだ。水野はオーケストラではフルサイズ、ソロでは機動性を優先して4分の3サイズを使っている。音色や音の立ち上がりの感覚なども異なるのだろう。

 コントラバスを弾き始めたのは中学校のオーケストラ部。幼い頃からピアノと作曲を学んでおり、自作のチェロ・ソナタで鮮やかにピアノを弾く高校生の彼の動画も公開されている。

 ちなみに斗希(とき)という名前は、漫画・アニメの『北斗の拳』ファンの父親による命名。

 「もうひとつ別の理由もあるそうですが、それが何なのかは教えてもらっていません(笑)」

 3月に東京藝術大学を卒業したばかり。今後はオーケストラに籍を置きながら、ソロに室内楽に、さらに活動の幅を広げていく。彼の演奏を通してコントラバスの魅力の虜になる人が急増しそうな予感。

取材・文:宮本 明

(ぶらあぼ2026年5月号より)

第186回 リクライニング・コンサート 水野斗希(コントラバス) & 小澤佳永(ピアノ)
2026.5/27(水)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
https://hakujuhall.jp

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