名匠ユベール・スダーン、得意のシューマン「春」で愛知室内オーケストラに登場

左:ユベール・スダーン
右:北村朋幹 ©TAKA MAYUMI

 聴くとうれしくなるオーケストラだ。愛知室内オーケストラは、音が澄んでいて、表現がまっすぐだから気持ちがいい。要となる素直で清新なアンサンブル、初代音楽監督・山下一史の大きな求心力、ソロ・コンサートマスター小森谷巧らのリードに加え、多彩な指揮者やソリストを迎えて、ここ数年のうちにも伸びやかな成長を遂げてきた。

 そうして定期演奏会も100回を数える重要なシーズンに、オランダの名匠ユべール・スダーンと再会する。シューマンの交響曲のマーラー版は、東京交響楽団と全集録音もまとめたスダーン得意のレパートリー。「春の交響曲」として愛される第1番変ロ長調を採り上げる。

 グリーグのピアノ協奏曲イ短調では、近年指揮も手がける北村朋幹が旧知のスダーンとさらに音楽を深めていくだろう。愛知県出身の俊英と愛知室内オーケストラは初顔合わせだが、清新な対話が結ばれることが期待される。

 ロマンティックな音楽の魅力に溢れて、指揮者、ソリスト、オーケストラの、世代を超えた共演が生き生きと実るといい。

文:青澤隆明

(ぶらあぼ2026年4月号より)

ユベール・スダーン(指揮) 愛知室内オーケストラ 第98回 定期演奏会 
2026.6/18(木)18:45 愛知県芸術劇場 コンサートホール
問:愛知室内オーケストラ052-211-9895 
https://ac-orchestra.com


青澤隆明 Takaakira Aosawa

書いているのは音楽をめぐること。考えることはいろいろ。東京生まれ、鎌倉に育つ。東京外国語大学英米語学科卒。音楽評論家。主な著書に『現代のピアニスト30—アリアと変奏』(ちくま新書)、ヴァレリー・アファナシエフとの『ピアニストは語る』(講談社現代新書)、『ピアニストを生きる-清水和音の思想』(音楽之友社)。『ショスタコーヴィチを語る』(青土社)で、亀山郁夫氏と対談。そろそろ次の本、仕上げます。ぶらあぼONLINEで「Aからの眺望」連載中。好きな番組はInside Anfield。
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