北村陽がエリザベート王妃国際コンクール チェロ部門で第5位

 5月4日に開幕したベルギーのエリザベート王妃国際コンクールは、チェロ部門(審査員長:ジル・ルデュール)のファイナルが現地時間5月25日から30日にかけてブリュッセルで行われた。31日未明に結果が発表され、イタリアのエットーレ・パガーノが優勝。日本勢で唯一ファイナルに進出していた北村陽が第5位に入賞した。
 今年で創設から75周年を迎えた同コンクールだが、チェロ部門の開催は2017年、22年に続いて今回が3回目。北村や森田啓介を含む64名のチェリストが参加していた。優勝者には、賞金25,000ユーロのほか、副賞としてカザルス愛用の銘器(ゴフリラー)が貸与され、4年間にわたってこの楽器を使用する権利が与えられる。

北村陽 ファイナルのステージより ©Alexandre de Terwangne

◎エリザベート王妃国際コンクール チェロ部門結果
第1位 Ettore Pagano (イタリア)
第2位 Tae-Yeon Kim(韓国)
第3位 Leland Ko(アメリカ/カナダ)
第4位 Álvaro Lozano Cames(スペイン)
第5位 Yo Kitamura 北村陽(日本)
第6位 Maria Zaitseva(ロシア)

優勝したエットーレ・パガーノ ©Thomas Léonard

 12名のファイナリストたちは、セミファイナルが終わったあと、エリザベート王妃音楽礼拝堂に外部との連絡を絶つ形で滞在した。その間、コンクール指定の必須課題である中国系アメリカ人の作曲家ファン・マンによる新作 ”Four Odes to the Tidings of Flowers” の楽譜を渡され、各自独習。自身が選択したもう1曲の協奏曲も含め、オーケストラとのリハーサルに臨むというハードな1週間の準備期間を過ごし、ファイナルのステージに立った。

 2日目の26日に登場した北村は、アントニー・ヘルムス指揮ベルギー国立管弦楽団との共演で、新作課題とプロコフィエフ最晩年の傑作、協奏交響曲を披露。特に後者では、この作曲家特有の先鋭的なリズムが散りばめられ、抒情性のなかに緊張感がみなぎる内省的な音楽で卓越した技巧を示し、会場から大きな拍手が送られていた。

セミファイナルのステージより ©Alexandre de Terwangne

 北村は2004年生まれ。9歳でオーケストラと初共演するなど幼少期から頭角を現し、すでに国内外で活発な演奏活動を行っている。近年では、2023年ブラームス国際コンクール第1位、2024年にはエネスク国際コンクール・チェロ部門で日本人初優勝を果たすなど、快挙が続く。山崎伸子のもとで研鑽を積み、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースでは堤剛に師事、現在はベルリン芸術大学でイェンス=ペーター・マインツのもとで学んでいる。

 王妃エリザベートとカザルスの生誕150年に当たる記念イヤーだったこともあり、これまで以上に注目を集めたチェロ部門。セミ・ファイナルは、完全に異なる2つのプログラムを用意し、演奏の29時間前にどちらを演奏するか指定されるというタフなシステムで、さらにファイナル直前には、溢れる情報から遮断され、音楽に没頭する時間を過ごす。厳しい選抜を勝ち抜いた若いチェリストたちにとって、こうした経験は今後の音楽人生に大きな糧となるに違いない。コンクールは、このあとファイナリストたちによるリサイタルや上位6名のツアーが行われ、幕を閉じる。

Concours Reine Elisabeth
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