ガルシアとモリニエールの2台のギターによる「ゴルトベルク変奏曲」。1本の木から作られたギターで、同質の響きがまろやかに溶け合う。響きとしてはチェンバロに近いが、左手と右手の対位法の動きが鮮やかに独立して演奏されるのは、驚異的であり、新しい発見でもある。第7変奏のジーグのウキウキとするリズム、第10変奏フゲッタの均質な声部書法、第15変奏のほのかな哀感、第16変奏の堂々たる前奏とフーガ、第21変奏の情感豊かな7度カノン、第25変奏の細かい表情づけの美しいアダージョ、第30変奏の楽しいクォドリベット、そして格別の感懐と味わいのあるアリアの回帰まで。名演だ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2026年1月号より)
【information】
SACD『バッハ:2台ギターによるゴルトベルク変奏曲/ティボー・ガルシア&アントワン・モリニエール』
J.S.バッハ(T.ガルシア&A.モリニエール編):ゴルトベルク変奏曲
ティボー・ガルシア アントワン・モリニエール(以上ギター)
ERATO/ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13879 ¥3410(税込)


