第5回 Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール、優勝はスペインの17歳 ギジェルモ・エルナンデス・バロカル

大山桃暖が第2位、朴沙彩が第3位

  7月26日から開催されていた第5回 Shigeru Kawai 国際ピアノコンクールは、8月2日、渋谷区総合文化センター大和田さくらホールでファイナルの審査が行われ、会場には熱心なピアノファンが多く駆けつけた。優勝はスペインのギジェルモ・エルナンデス・バロカル。日本勢では、大山桃暖が第2位、朴沙彩が第3位、山本悠流が第4位に入賞した。

審査員と入賞者たち 写真提供:Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール

◎第5回 Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール 最終結果(年齢は2025年7月26日時点)
第1位聴衆賞 ギジェルモ・エルナンデス・バロカル Guillermo HERNANDEZ BARROCAL(スペイン)17歳
第2位 大山桃暖 Modan OYAMA(日本)19歳
第3位 朴沙彩 Saaya PAKU(日本)19歳
第4位 山本悠流 Yuri YAMAMOTO(日本)25歳
第5位 ラファエル・キリチェンコ Rafael KYRYCHENKO(ポルトガル)29歳
第6位 ピエトロ・フレサ Pietro FRESA(イタリア)25歳

優勝したギジェルモ・エルナンデス・バロカル

 この日は、6人のファイナリストが、伴奏者であるアンドレイ・ピサレフ、またはアレクセイ・メルニコフとの2台ピアノでそれぞれ協奏曲の課題に臨んだ。コンテスタントのために、2015年製と2025年製のShigeru Kawai SK-EX 2台が用意され、各々がセレクトした楽器で、その豊かなサウンドを存分に聴かせた。

ギジェルモ・エルナンデス・バロカル ファイナルのステージより 写真提供:Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール

 第1位のギジェルモ・エルナンデス・バロカルは、2008年生まれ。11歳の時にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を弾いてオーケストラと初共演するなど早熟の才を発揮。バリャドリード音楽院を経て、カタリーナ・グルスカ高等音楽センター(マドリード)にてアンドレイ・ヤロシンスキーのもとで研鑽を積んだ。現在は、マドリードのソフィア王妃高等音楽院でGalina Eguiazárovaに師事するとともに、2021年ショパン国際ピアノコンクール第3位のマルティン・ガルシア・ガルシアにもレッスンを受けているという。2023年には、スイス・ルガーノJeune Chopinコンクールで第2位に入賞している。今回の1次予選、セミファイナルでは、ロマン派主体のレパートリーで17歳の若者らしい勢いのある演奏を聴かせたが、ファイナルでは得意とするシューマンのイ短調協奏曲で、作曲家の幻想的な世界観をセクションごとに巧みに描き分け、栄冠をつかんだ。「世界的なピアニストである審査員の先生方の前で演奏できることが一番のモチベーションになった。ファイナルでの演奏は、これまでの人生で最も楽しんだステージ」と喜びを語った。優勝賞金は200万円。そのほか、副賞としてリサイタルへの出演やマスタークラス受講の機会が与えられる。

第2位 大山桃暖 写真提供:Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール

 日本勢最高位となる第2位に入賞した大山桃暖は、2005年大阪府堺市出身。現在、大阪音楽大学ピアノ演奏家特別コース2年に在学中。ジュニア時代から頭角を現し、国内外でコンクール入賞歴多数。昨年のピティナ・ピアノコンペティション特級ではファイナリストとなっている。「(結果に)びっくりすると同時にとても嬉しい」という大山。この日のファイナルではプロコフィエフの協奏曲第3番を選択し、この作品特有のユーモアや躍動感のあるリズムを力強く披露した。

第3位 朴沙彩(右)と植田克己審査委員長(左)
第4位 山本悠流 写真提供:Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール

 8月3日15時より、カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」で入賞者演奏会が開催され、コンクールは幕を閉じる。

取材・文:編集部
取材協力:Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール