新日本フィル9月定期で指揮者ジャン=クリストフ・スピノジが崔文洙とヴァイオリン・ソロで競演!

左より:ジャン=クリストフ・スピノジ/崔 文洙/砂川涼子 ©Yoshinobu Fukaya

 秋の到来を告げる9月、新日本フィルの「すみだクラシックへの扉」では趣向を凝らした企画や有名曲のハイライトなどで祝祭的な気分を盛り上げてくれる。

 前半はヴィヴァルディの「四季」。ヴァイオリン独奏とオーケストラが春夏秋冬をイメージ豊かに描き出す超名曲だが、このコンサートを指揮するジャン=クリストフ・スピノジと新日本フィルの誇るソロ・コンマス崔文洙が独奏を弾き分ける。スピノジは2010年の初登場以降、新日本フィルとは共演を重ねてきたが、もともとはヴァイオリニストとしてキャリアをスタートさせている。今回は得意のバロック音楽でタクトと弓を持ち替えながら、崔と躍動感あふれる競演を聴かせてくれるだろう。

 後半はソプラノ砂川涼子が〈私が街を歩くと〉(ラ・ボエーム)、〈私のお父さん〉(ジャンニ・スキッキ)ほか、イタリア・オペラの名アリアを歌う。砂川といえば藤原歌劇団や新国立劇場の公演の主要ポジションを担い、今や日本を代表するディーヴァの一人。透明感あふれる歌声が高揚感を一層高めてくれることだろう。

 また、これらのアリアの間にはロッシーニの《セビリアの理髪師》《泥棒かささぎ》《ウィリアム・テル》といった傑作序曲が挟まれている。ロッシーニもまた抜群のリズム、テンポ感の持ち主スピノジが得意とする作曲家だ。はじめてクラシックの扉を開く人のみならず新シーズンを新鮮な気持ちで迎えたい人もワクワクする“ガラ風”コンサートになりそうだ。

文:江藤光紀

(ぶらあぼ2025年8月号より)

ジャン=クリストフ・スピノジ(指揮/ヴァイオリン)新日本フィルハーモニー交響楽団
すみだクラシックへの扉 第33回
2025.9/12(金)、9/13(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp