
夏の風物詩「侍BRASS」が、20回目(20年目!)の東京オペラシティ公演を行う。彼らは、トロンボーンの中川英二郎、トランペットのエリック・ミヤシロらジャズ&スタジオ系の達人と、在京楽団のトップ級奏者らクラシック系の名手が融合した10人編成のブラス・アンサンブル。ユーフォニアムを加えた稀な編成も特徴だ。そしてジャンルを超えた豊潤なサウンドと抜群のテクニック、和のテイストにこだわったオリジナル曲とセンスの良いアレンジによる巧みなプログラム、何より“愉しいステージ”で熱い支持を獲得。20年もの継続が人気と実力の高さを如実に証明している。
今年のテーマは「遊戯三昧(ゆげざんまい)」。団長の中川は「何ものにもとらわれず自由自在に遊ぶことを意味する仏教の言葉。それゆえ仏や神、また広い意味での遊びにまつわるレパートリーを選んだ」と語る。中川の新曲「遊戯三昧」は、「“ソロからラージアンサンブルまで”“ジャズからクラシックまで”という侍BRASSの2本の軸を自在に行き来する作品」(中川)というから実に楽しみ。このほか、中川の「鳳凰の舞」では重厚さ、同じく「御町屋」では軽快なサウンドを味わえるなど、オリジナル曲はどれも期待値が高く、新アレンジのドリーブ「バッカスの行進」やエリック編曲の「バードランド」等、クラシックやポップス作品も大いに胸を弾ませる。
中川らの名人芸的ソロやエリックの超絶ハイトーンも恒例の聴きもの。とにかくエンターテインメント性に富んだステージは、一般の音楽ファンも感嘆しつつ楽しめること請け合いだ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年8月号より)
侍BRASS 2025《遊戯三昧》
2025.8/31(日)15:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp

