鈴木優人(調布音楽祭エグゼクティブ・プロデューサー)

音楽祭の“エンジン”のような存在になれたらいいですね

 指揮者や鍵盤楽器奏者として多才に活躍する鈴木優人が、地元・調布で「調布音楽祭エグゼクティブ・プロデューサー」を務め、企画から演奏まで音楽祭を率いている。そんな彼に3年目を迎える調布音楽祭について聞いた。
「私は、上から見るのではなく、本当に中身を作っていく、音楽祭のエンジンのような存在になれたらいいと思っています。調布音楽祭は公共の予算を使う事業です。まず調布のみなさんに楽しいと思っていただかなければなりません」
 鈴木自らチラシの製作にまで携わる手作り感のある音楽祭。最もモデルとしたい音楽祭は?
「エジンバラ音楽祭ですね。ハイ・クオリティな演奏会からバーでお酒を飲みながらのジャズまで、幅広い音楽を街ぐるみで楽しむという意味で」
 今年は、調布の観光名所でもある深大寺・本堂でのコンサートも実現する。
「今年は深大寺が入って場所的に広がったのがうれしい。来年は多摩川にボートでも浮かべて、花火大会と『水上の音楽』をやりたいです(笑)。寺神戸亮さんのバロック・ヴァイオリンというのはイメージにぴったりで、深大寺の山門が1695年に建ち、バッハが1685年生まれなので正に同時代なのです」
 今年の音楽祭の目玉はミハイル・プレトニョフ率いるロシア・ナショナル管。プレトニョフは、チャイコフスキーの交響曲第5番を指揮するだけでなく、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番(V.ラヴリックが指揮)の独奏も務める。調布音楽祭だけの特別プログラムだ。
「プレトニョフは僕のアイドル的存在。僕自身、直後に出演するリサイタルがあるのですが、絶対に聴きたい(笑)」
 音楽祭のメインはバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)。BCJは、調布市文化・コミュニティ振興財団と協定を結び、そこを本拠地としている。今年はヴィヴァルディの「四季」を取り上げる。「お祭りの要素がほしいということで、季節ごとに4人違うソリストで演奏します。BCJのコンマス3人とゲストの白井圭さんの4人で火花を散らしてもらいます」
 「四季」とその他の協奏曲を折りまぜる凝ったプログラム。「春」(若松夏美)→ヘンデル→マルチェッロ→「夏」(白井)→バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」(寺神戸+白井)→「秋」(高田あずみ)→「冬」(寺神戸)→ヴィヴァルディ「4つのヴァイオリンのための協奏曲」の順で演奏する。
 鈴木雅明&鈴木優人の父子によるチェンバロ・リサイタルも調布音楽祭ならではの企画である。
 「リクエストもあり、親子で語らうなんてこともなかなかないので、これは神様が与えてくれた、よい機会かなと思ってやることにしました」
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)

調布音楽祭
6/25(木)〜28(日) 調布市グリーンホール、調布市文化会館たづくり、深大寺 他
問:調布市グリーンホール チケットサービス042-481-7222
http://chofumusicfestival.com/cmf2015