ヘルシンキで5月19日から開催されていた第13回シベリウス国際ヴァイオリン国際コンクール(審査員長:ヨーン・ストルゴーズ)は、27日〜29日の3日間にわたるファイナルの審査を終え、現地時間29日深夜(日本時間30日未明)に表彰式で結果が発表された。優勝は韓国のパク・スイェ。日本勢で唯一ファイナルに進出していたMINAMI(吉田南)が第2位に入賞、あわせてシベリウスのヴァイオリン協奏曲最優秀演奏賞も受賞した。

©Matias Ahonen
第13回シベリウス国際ヴァイオリン国際コンクール最終結果
第1位 Sueye Park(韓国)
第2位 Minami Yoshida 吉田南(日本)
第3位 Claire Wells(アメリカ)
シベリウス ヴァイオリン協奏曲最優秀演奏賞(シベリウス・ファミリーより授与):Minami Yoshida
委嘱作品最優秀演奏賞(フィンランド作曲家協会より授与):Amia Janicki
楽器貸与/ G.B.グァダニーニ1777年製 「ex Sasson 」ヴァイオリン:Sueye Park
ファイナルにはMINAMIを含む6人のヴァイオリニストが進出。各コンテスタントは、2曲の協奏曲の演奏が求めらた。シベリウスの協奏曲は必須課題。また、ウンスク・チン、オリヴァー・ナッセン、マグヌス・リンドベルイ、カイヤ・サーリアホの協奏曲から1曲を選び演奏する。当初ヘルシンキ・フィルを振る指揮者として予定されていたペッカ・クーシストが健康上の理由で出演が叶わず、急遽ピエタリ・インキネンとジェフリー・パターソンの二人が分担する形で指揮をすることに。一方、フィンランド放送響はディマ・スロボデニュークがタクトを執った。
MINAMIは、1日目にリンドベルイの協奏曲第2番(ヘルシンキ・フィル)を、そして3日目の最後に登場し、シベリウスの協奏曲(フィンランド放送響)を終始、抜群のテクニックと力強く豊かな音色で聴かせ、見事同曲の最優秀演奏賞を獲得した。第2次予選で演奏したグリーグのソナタ第3番での繊細な表現も忘れがたい。

起伏に富んだ音楽が印象的だったパク・スイェは2000年生まれ。わずか9歳でベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でウルフ・ヴァリンに師事。アーティスト・ディプロマ・プログラムを修了した。これまでに、ソリストとして、ベルリン・コーミッシェ・オーパー管、ソウル・フィル等ど共演経験がある。BISレーベルから数枚のCDをリリースしている。

MINAMIは、1998年奈良県天理市生まれ。桐朋女子高等学校音楽科を首席で卒業後、渡米し、ボストンのニューイングランド音楽院修士課程を修了。2022年、第11回インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールで第3位。2024年のエリザベート王妃国際コンクールのヴァイオリン部門では、第6位に入賞している。現在、独クロンベルク・アカデミー・プロフェッショナルスタディに在籍して研鑽を積んでおり、今年8月からはベルリン・フィルの第1ヴァイオリン奏者としてトライアルを開始予定。今後ますますの活躍が期待される。
受賞直後のコメント
この度のシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールにおいて、
第2位とシベリウス・コンチェルト・ベスト・パフォーマンス賞を受賞いたしました。
たくさんの方々に支えていただきここまで来ることができ、心より感謝申し上げます。
これからも弛まぬ努力を続けてまいります。
ステージでまた皆さまにお目にかかれますことを楽しみにしております。
最後になりましたが、日本からの温かいご声援、本当にありがとうございました。
MINAMI(吉田 南)
(提供:アスペン)
SibeliInternational Jean Sibelius Violin Competition
https://sibeliuscompetition.fi/en/