
ソリストとしてはもちろん、室内楽奏者としても非常に信頼の厚いピアニストである有吉亮治。今回のリサイタルはそんな彼の多彩さを実感できる、ソロと協奏曲(弦楽四重奏による伴奏)で構成された内容となっている。
ピアノソロではモーツァルトやベートーヴェンのソナタ、リストの超絶技巧練習曲第11番「夕べの調べ」にラヴェルの「ラ・ヴァルス」が並ぶ、精緻な技巧と幅広い表現力を感じ取れる選曲。とくに最後を飾るラヴェルの作品では、ピアノからオーケストラの音色を紡ぎだす有吉のピアニズムが存分に発揮されるはずだ。
協奏曲ではヴァイオリンの戸原直・佐々木歩、ヴィオラの佐々木亮、チェロのマルモ・ササキを迎え、モーツァルトの第12番を取り上げる。ピアノとオーケストラの対話が楽しい楽曲だが、室内楽編成で演奏されることにより、その楽しさがより際立ったものとなる。各奏者の技巧と音色も存分に味わうことができるだろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2025年6月号より)
有吉亮治 ピアノリサイタル 〜音の彼方へ2025
2025.6/24(火)19:00 日本製鉄紀尾井ホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617
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