アルゲリッチら巨匠たちが絶賛するヴァイオリニスト ゲザ・ホッス=レゴツキの才能を味わい尽くす

ピアノとのデュオ、オーケストラとの共演でオール・ブラームス・プロを披露

ゲザ・ホッス=レゴツキ

 ゲザ・ホッス=レゴツキというヴァイオリニストはご存知だろうか? マルタ・アルゲリッチと音楽祭などで共演している、あのエキゾティックな表現の持ち主と聞いて気づいていただければ話が早い。

 1985年にスイスのローザンヌで、ハンガリーのロマ・ ヴァイオリンの伝統を受け継ぐ直系の後継者として生まれたゲザ。ウィーン音楽院で学び、これまでルッジェーロ・リッチ、イヴリー・ギトリス、イダ・ヘンデル、ティボール・ヴァルガといった巨匠に師事したことからも、彼の演奏スタイルがなんとなく想像できるのではないだろうか。

 独特なヴィブラートを駆使してハスキーに歌われる旋律、テンポやデュナーミクの激しい変化など、ロマ音楽の伝統をクラシカルなレパートリーで存分に生かすゲザ。そんな抑揚に富む、自由なスタイルと感性をもつ彼が、すみだトリフォニーホールでオール・ブラームスによる公演を行う。

 前半は、沼沢淑音とのデュオによるリサイタル。ヴァイオリン・ソナタ第3番やハンガリー舞曲集からの抜粋を取り上げる。柔軟かつ繊細な感覚をもった実力派ピアニストとの共演では、ブラームスが大きく影響を受けたロマ音楽のエッセンスが感じられる、インパクトの強い演奏を期待していい。

 後半は、沼尻竜典の指揮する新日本フィルとヴァイオリン協奏曲を演奏。沼尻ならではの濃密な表現が、ゲザのヴァイオリンと共鳴、フレーズの一つひとつが香り立つようなブラームスを聴かせてくれるだろう。

文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2025年5月号より)

ゲザ・ホッス=レゴツキ meets 新日本フィルハーモニー交響楽団
2025.5/31(土)15:00 すみだトリフォニーホール
問:トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 
https://www.triphony.com