スペイン・バロック音楽はジョルディ・サヴァールらスペインの音楽家、日本ならメディオ・レジストロなどが積極的にその魅力を紹介してきた。ファミ・アルカイもその使徒。本盤は16〜18世紀のフォリアやグローサ、ディフェレンシアなど変奏や装飾を主体とした楽曲で構成され、キテリア・ムニョスが歌う声楽曲も収録。ヴィオラ・ダ・ガンバを高度の技巧とパッションでエキサイティングに弾き、即興も自由自在。ジャズやロックのバンドのようにアンサンブルがグルーヴする。イベリアと彼らが支配した「新大陸」の音楽が混じり合い、宗教と世俗双方の熱情が競い合うように噴き上げてくる。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2025年5月号より)
【information】
CD『燃えるスペイン〜スペイン・バロック音楽の 神と人間の情熱/ファミ・アルカイ』
アンリ・ド・バイイ:私は狂っている/アントニオ・デ・カベソン: 騎士の単旋歌によるディフェレンシア〔変奏曲〕/ファミ・アルカイ:スペインのフォリア/アロンソ・デ・ムダーラ(ブランチ編):クラロス伯爵によるグローサ〔旋律的装飾〕と即興 他
ファミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アカデミア・デル・ピアチェーレ
キテリア・ムニョス(ソプラノ)
Challenge Classics/ソプラノ
XCC 720018 ¥3300(税込)