愛知室内オーケストラが2026-27シーズンラインナップを発表

 愛知室内オーケストラ(ACO)が11月24日、2026-27シーズン(26年4月~27年3月)のラインナップを発表した。

 愛知県立芸術大学出身の若手演奏家を中心として2002年に発足したACO。22年から山下一史が初代音楽監督を、24年からは原田慶太楼が首席客演指揮者兼アーティスティック・パートナーを務めている。さらには小森谷巧(ソロ・コンサートマスター/アーティスティック・パートナー)、ヴィオラの川本嘉子(弦楽器アドヴァイザー/首席客演奏者)ら経験豊富なベテランが要職を担っている点も特徴だ。

左:山下一史 ©飯島隆(大阪交響楽団提供)
右:原田慶太楼

 新シーズンの定期演奏会は全10回。そのうち山下は4回、原田は2回登壇する。
 山下は音楽監督就任以降、「オーケストラのベースを創る」ための柱としてベートーヴェンの交響曲に取り組んできた。4月定期の第5番「運命」(4/15)、シーズンラストの「第九」(3/17)で、5年がかりのツィクルスが完結を迎える。7月の第100回定期では、コンポーザー・イン・レジデンスの権代敦彦による4作目となる委嘱作を世界初演(7/31)。平和への祈りを込めた合唱付きの大作を、R.シュトラウス「13管楽器のためのセレナーデ」、シェーンベルク「浄夜」(弦楽合奏版)と組み合わせる。
 原田は1月定期で、芥川也寸志「ヴァイオリンとオーケストラのための秋田地方の子守歌」に加え、近年集中して取り組むニールセンの交響曲第1番を指揮(1/29)。7月定期では、石田泰尚をソリストに迎えるフィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2番「アメリカの四季」、チャイコフスキー「白鳥の湖」組曲と、意欲的なプログラムが用意された(7/2)。

 客演ではまず、9月定期に出演するバーバラ・ドラガンに注目したい(9/13)。フランス国立管やケルン・ギュルツェニヒ管への客演経験を持つ若手指揮者で、デュカス「魔法使いの弟子」、ムソルグスキー(ラヴェル編)の組曲「展覧会の絵」を披露。さらには、今年ベルリン・フィルの首席フルート奏者に就任したステファン・ホスクルドソンを独奏に迎え、現代アメリカの作曲家リーバーマンのフルート協奏曲第2番を日本初演する。
 他にも、日本でもおなじみのジョン・アクセルロッド(12/2)、パリ管へのデビューで注目を集める鈴木優人(2/4)、今季に続き登場するユベール・スダーン(6/18)も名を連ねる。

 ソリストでは、4月定期でモーツァルトの協奏曲第3番を弾く小森谷巧(4/15)をはじめ、この秋のショパンコンクールでの活躍も記憶に新しい桑原志織(1/29)、中川優芽花(12/2)も見逃せない。

 フレンド・オブ・ACOの横山幸雄は、5月の特別演奏会で2024年から続けるベートーヴェン協奏曲ツィクルスの最終章として第5番「皇帝」を取り上げる(5/13)。この公演では協奏曲の独奏に加え、管弦楽作品の指揮も務める。
 小森谷、川本嘉子らが指揮者を置かずにオーケストラを率いる「ザ・レジェンド アンサンブルシリーズ」は3公演。小森谷はベートーヴェン「クロイツェル」(ヴァイオリンと弦楽合奏版)などで指揮・独奏・コンサートマスターの三刀流を披露(10/29)。1月には、ウィーン・フィルの首席ファゴット奏者で近年は指揮者としても活発な活動をみせるソフィー・デルヴォーも登場する(1/16)。
 
 多彩な指揮者陣のもと、さらなる進化を見据える愛知室内オーケストラの新シーズンに期待したい。

愛知室内オーケストラ

愛知室内オーケストラ
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