2025年5〜6月の第9回仙台国際音楽コンクールの開催を前にした2月15日、「開催記念コンサート」がひらかれる。この演奏会では、22年の第8回同コンクールのピアノ部門第1位に輝いたルゥォ・ジャチンがブラームスのピアノ協奏曲第2番を、そしてヴァイオリン部門において史上最年少17歳で優勝した中野りなが、同じ作曲家のヴァイオリン協奏曲を弾く。
中野は現在、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースに在籍。23年9月から1年間、ウィーン市立音楽芸術大学に留学していた。
「オーストリアには小さい時からザルツブルクのモーツァルテウムサマー・アカデミーに参加するためにほとんど毎年行っていて、そこでご指導いただいたポール・ロチェック先生に習いたいと思い、ウィーンに留学しました。ロチェック先生にはプライベートでレッスンを受けながら、大学ではカルヴァイ・ダリボル先生に師事し、力まずに響く音を出すことを学びました。ウィーンではオペラやウィーン・フィルの演奏会に出かけたり、美術館を訪れたりして、様々な芸術に触れることができたと思います」
モーツァルト、ブラームス、マーラーなど独墺系の音楽が好きという彼女だが、ブラームスのヴァイオリン協奏曲は今回初めて演奏する。
「貴重な機会に新しいものを勉強したいと思いました。ブラームスの協奏曲はシンフォニー的ですので、オーケストラのパートもしっかり理解しなければなりません。コンチェルトに取り組む際には、オーケストラと会話をしながら演奏できるように心掛けています」
今回共演する広上淳一&仙台フィルハーモニー管弦楽団とは、22年の同コンクールで演奏をともにした。
「広上先生は、温かく迎えてくださり、私の演奏にも丁寧に合わせてくださいました。仙台フィルとは24年2月の定期演奏会でも共演し、いつも熱いエネルギーを感じます。前回のコンクールから少しでも成長した姿をお見せできるようがんばりたいです」
今後についてはこう語る。
「まだまだ知らない作品がたくさんあるので少しずつ勉強して、それぞれの楽曲が持つ魅力をお客さまに伝えられるようになりたいと思います。演奏活動も一つひとつ丁寧に取り組んでいきたいです。できればまた海外で勉強したいですし、国際コンクールへの挑戦も考えています」
最後に仙台国際音楽コンクールを目指す人たちへメッセージをもらった。
「仙台国際音楽コンクールでは、リハーサルを含めてオーケストラと何度も演奏できる貴重な機会が持てます。コンクールという場所ではありますが、楽しむことを忘れずに、ぜひたくさんの方にチャレンジしていただけたらと思います」
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ2025年1月号より)
第9回仙台国際音楽コンクール開催記念コンサート
2025.2/15(土)14:00 日立システムズホール仙台 コンサートホール
問:仙台市市民文化事業団022-727-1872
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