いずみシンフォニエッタ大阪(ISO)第53回定期演奏会のプログラムは、近くに迫った「大阪・関西万博」を音楽でもっと盛り上げられないかと、音楽監督・西村朗の発案から誕生した。2023年9月に急逝した西村は、1970年の「大阪万博」が自分に与えた影響について度々語っていた。10月中旬に行われた記者発表の場で、常任指揮者・飯森範親は、「西村先生の思いが詰まった最後のプログラム。『五大陸を巡るシン・音楽漫遊記』と題して、各大陸を代表する作曲家の作品を一度に聴くことができます。先生と過ごしたISOの25年を振り返ると感慨深いです」と語った。
プログラムを演奏順に見ていこう。アフリカ代表のM.ブレイクの「クウェラ」は、とにかく元気の出る曲。ヨーロッパ代表は、生誕100年の記念年ということで、ブーレーズの「Dérive I」に決定。5曲の中で異彩を放っている。アメリカ代表のヴィラ=ロボスの「ファゴットと弦楽合奏のための7つの音のシランダ」は、ISOのファゴット・東口泰之が独奏を務める。「初めて吹く曲。ブラジルの“シランダ”は輪踊り歌のこと。表現力豊かに、元気いっぱい届けたい」と東口は話す。
後半のオセアニア代表・C.ヴァインのオーボエ協奏曲も、ISOの顔と言える古部賢一がソロを吹く。古部は「長年過ごしてきたISOは特別な存在。超絶技巧で大変だが、曲の魅力が伝わるように演奏したい」と語った。アジア代表は日本の若手作曲家・室元拓人で、このために新曲を書き下ろす。「西村朗氏、川島素晴氏(同楽団プログラム・アドバイザー)よりご指名をいただきました。アジアの新しい響きをお愉しみください!」と力を込めた。ホールに居ながらにしての世界旅行、素敵ではないか!
文:磯島浩彰
(ぶらあぼ2025年1月号より)
いずみシンフォニエッタ大阪 第53回定期演奏会
五大陸を巡るシン・音楽漫遊記
2025.2/15(土)16:00 大阪/住友生命いずみホール
問:住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188
https://www.izumihall.jp