【CD】メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲&「スコットランド」/延原武春&日本センチュリー響

 延原武春の見事なメンデルスゾーン。協奏曲で小栗まち絵のヴァイオリンが爽やかで美しい。イントネーションも清潔だ。ふくよかで甘い旋律の歌と、きっぱりとした切れ味のよいリズムの楽想とのバランスが良い。技巧的なパッセージも丁寧に仕上げられ、情熱的な高揚でのオケとの息もぴったり。「スコットランド」では日本センチュリー響の弦と管の美しさが際立っている。メンデルスゾーンの複雑に入り組んだテクスチュアを、延原は整然と振り分け、聴き応えがある響きを生み出している。フィナーレでも生き生きと躍動するリズムと豊かなメロディがロマンティックな情感を焙り出して、実に魅力的だ。
文:横原千史
(ぶらあぼ2024年9月号より)

【information】
CD『メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲&「スコットランド」/延原武春&日本センチュリー響』

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調、交響曲第3番「スコットランド」

延原武春(指揮)
日本センチュリー交響楽団
小栗まち絵(ヴァイオリン)

収録:2023年9月、豊中市立文化芸術センター(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-8014 ¥3300(税込)