ヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団 第二回演奏会
メンデルスゾーン「エリアス」

豪華ソリスト陣とともに挑む劇的なロマン派オラトリオ

 2022年に始動したヨス・ファン・フェルトホーフェン合唱団(ヨスコア)は、オランダ古楽界の大家、ヨス・ファン・フェルトホーフェンを音楽監督に迎え、公募によって集まった精鋭の合唱団だ。当初より5ヵ年プロジェクトとして企画され、毎年2月に演奏会を開催して合唱の名作を取り上げる。

 昨年のハイドン「天地創造」に続くプロジェクト第2弾は、フェーリクス・メンデルスゾーンの傑作オラトリオ「エリアス」(「エリヤ」等とも表記されるが、今回はドイツ語表記に従っている)。旧約聖書に登場する預言者エリアス(バリトン独唱)を主人公としたきわめて壮大でドラマティックなオラトリオであり、メンデルスゾーンの最高傑作との呼び声も高い。

ヨス・ファン・フェルトホーフェン

壮大に描かれる預言者の物語

 この作品についてファン・フェルトホーフェンは次のように語っている。

 「『エリアス』は1846年の初演で大好評を博して以来、今日まで愛され続けてきました。メンデルスゾーンはこの旧約聖書に基づくドラマを独唱、合唱、管弦楽による音楽として見事に結実させ、聴衆をあらゆる感情の渦に巻き込んでいきます。現代においてもメンデルスゾーンの音楽は壮大であり、人の心をつかむ圧倒的な力があります。作品には感動的な合唱や親しみやすいアリア、魅力あふれる重唱などが満載です」

 ファン・フェルトホーフェンは2018年まで名門オランダ・バッハ協会を35年以上にわたって率いた古楽界・合唱界の重鎮。現在は、アムステルダムおよびハーグの音楽院の教授として後進の指導にあたるほか、各地の合唱団より客演指揮者として招かれている。

 合唱指導は昨年に引き続き、国内外の指揮者たちの厚い信頼を得ている合唱指揮者の山神健志。すでに練習を重ねてきており、昨年12月に行われた試演会では全員が暗譜で歌うなど、2月の公演に向けた強い意気込みが伝わってくる。また今回は、気鋭のバリトン歌手でバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のメンバーでもある小池優介を発音指導者として招き、ドイツ語のディクションの強化を図った(小池は本公演でアンサンブルソリストも務める)。

左より:大沼 徹/中江早希 ©鷹田哲典/杉山由紀/櫻田 亮 ©Ribaltaluce

 独唱陣の顔ぶれもたいへん豪華だ。主役のエリアスを歌うのは二期会所属で、数々のオペラの舞台や演奏会のソリストとして活躍するバリトン大沼徹。ソプラノは伸びやかで表情豊かな歌唱で聴衆を魅了する中江早希、メゾソプラノは最近新国立劇場にも登場している注目の杉山由紀、そしてBCJのソリスト等でおなじみのテノール櫻田亮は昨年の「天地創造」に続いての出演となる。管弦楽には新日本フィルハーモニー交響楽団を迎える。

19世紀ドイツ教会音楽の金字塔

 「エリアス」は宗教音楽ではあるが、各登場人物が活き活きと語り、対話をし、ときにはオペラのシーンのようにドラマティックに筋が展開していくのが大きな聴きどころだ。なかでも合唱はきわめて重要な役割を果たし、バッハやヘンデルから強い影響を受けたメンデルスゾーンの合唱書法は感動を呼ぶ。長年の経験をもつファン・フェルトホーフェンが今回、このストーリーをどう紡ぎ、大所帯の編成をどのようにまとめ上げるのか、大いに期待が高まる。

 なお、来年以降のヨスコアの演目もすべて決まっており、2025年はブラームス「ドイツ・レクイエム」、26年はモーツァルト「ハ短調ミサ」とバッハの「マニフィカト」、そして27年には「ヨハネ受難曲」が予定されている。公演を重ねるごとに指揮者と団員たちの関係がより深まり、より進化したハーモニーを聴かせてくれるにちがいない。
文:後藤菜穂子
(ぶらあぼ2024年2月号より)

2024.2/24(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ヨスコア事務局03-3367-2451 
https://www.joschor.com