日本フィルのソロ・トランペット奏者が弦楽アンサンブルとともに聴かせる「四季」。しかし、イタリア・ジャズ界の鬼才コルヴィーニは、ヴァイオリン独奏をそのまま置き換えるのではなく、トランペットをフィーチャーした新たな楽曲に変身させている。これは編曲ではなく“再創造”。全体にアイディアに富んだ発想が愉しく、自由度が高い〈夏〉は特に面白い。クリストーフォリも明朗・光輝な音で鮮やかなソロを展開。その音色となめらかなフレージングはすこぶる心地よい。お馴染みの曲の変貌ぶりと日本(在住奏者)屈指の名手の妙技をともに堪能できるアルバム。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2024年1月号より)
【information】
CD『四季/オッタヴィアーノ・クリストーフォリ』
ヴィヴァルディ(コルヴィーニ編):四季〜ソロ・トランペットと弦楽アンサンブルのための
オッタヴィアーノ・クリストーフォリ(トランペット)
スペシャル・ストリング・アンサンブル
エミィ・トドロキ・シュワルツ(チェンバロ)
日本アコースティックレコーズ
NARD-5083 ¥3080(税込)