毎年シーズン・テーマを設け、その作曲家像をクローズアップしてきた東京交響楽団(東響)は2011年度シーズンには20世紀音楽の古典といえるアルノルト・シェーンベルクを選んだ。無調での作曲や12音技法を確立したシェーンベルクの作品を、年間にわたり定期公演のプログラムに組み入れるのは日本ではあまり例がなく、東響のなみなみならぬ意欲を感じさせる。とりあげる作品は室内交響曲第1番・第2番、「浄夜」(弦楽合奏版)、ブラームス「ピアノ四重奏曲(シェーンベルク編)」など。11月29日に行われた記者会見に出席したユベール・スダーン(音楽監督)は今回のシーズン・テーマについて次のように述べた。
「私は聴衆がこの素晴らしい作曲家を理解してくれると確信している。彼のロマンティックでドラマティックな側面を見ることができると思う。かつてカラヤンは『シェーンベルクの音楽の詳細な部分はナマの演奏では表現できない』と語り、レコードというかたちでシェーンベルクの音楽を残した。しかしながら今日のオーケストラは技術的にも向上し、作品の細部まで弾くことができると思う。聴く側もシェーンベルクを聴きに行くときは、とにかく発見しようという気持ちを持ってほしい。彼の音楽はとっつきにくい音楽のように見えるが、ウィーン古典派やブラームスの影響を受けていて作曲法はむしろ古典的だといえる。『浄夜』や『ペレアス〜』などは、『風とともに去りぬ』の映画音楽のようにロマンティックだ」
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