2024年2月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。海外にはなかなか出かけられない日々が続きますが、“妄想トラベル”を楽しみましょう!
[以下、ぶらあぼ2023年11月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 2月は現代音楽関係のコンサート、オペラがなぜか目立つ。例えば、フランス国立管やフランス国立放送フィルが参加する「フェスティバル・プレザンス2024」とか、SWR響の参加する「ECLAT現代音楽フェスティバル」。もちろん、2月に限らないケルンWDR響の「ムジーク・デア・ツァイト」やバイエルン放送響の「ムジカ・ヴィーヴァ」といった通常企画もある。オペラでは、ウィーン国立歌劇場のA.ラスカトフ「動物農場」、ウィーン・フォルクスオーパーのM.エッゲルト「最後の陰謀」、ドレスデン・ゼンパーオーパーのD.グラナート「トレドのユダヤ人」、パリ・オペラ座のT.アデス「皆殺しの天使」、フランドル歌劇場のD.ヤンセンス「ブロデック」など、新作を含めた現代作曲家によるオペラ作品も多数上演される。コンサートでは、G.グリゼーの大作「音響の空間」もある(カンブルラン指揮hr響他。ヴィオラ・ソロは笠川恵さんが担当)。

 「現代」よりいささか前の作品では、NDRエルプフィルの「フェスティバル“コスモス・バルトーク”」でイゴール・レヴィットがバルトークのピアノ協奏曲3曲を弾く演奏会や、フランクフルト歌劇場のツェムリンスキー「夢見るゲールゲ」プレミエなども面白そうだ。

 一方の古楽系も、アン・デア・ウィーン劇場とシャンゼリゼ劇場でのリュリ「アルセスト」(フュジェ指揮)、ザルツブルク・モーツァルト週間のモーツァルト「皇帝ティートの慈悲」(サヴァール指揮)、ジュネーヴ大劇場のモーツァルト「イドメネオ」、ミラノ・スカラ座でのヘンデル「アルチーナ」(ミンコフスキ指揮)、パリ・オペラ座(ガルニエ宮)のヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」(ビケット指揮)、フィルハーモニー・ド・パリとシテ・ド・ラ・ミュジークでのクリスティ指揮レザール・フロリサン、シャンゼリゼ劇場でのパーセルの「ディドとエネアス」(プラムゾーラー指揮)、ヤーコプス指揮フライブルク・バロック管のモンテヴィルディ「オルフェオ」ツアーなど、いろいろある。また、モーツァルトの「フィガロの結婚」がベルリン州立歌劇場(ミンコフスキ指揮)、「コジ・ファン・トゥッテ」(ルセ指揮)がパリ・シャトレ座で演奏される。後者は、7月の「エクサン・プロヴァンス音楽祭」でプレミエになったプロダクションだが、指揮がヘンゲルブロックからルセ、演奏がバルタザール・ノイマン・アンサンブルからレ・タラン・リリクに代わっている(久々のシャトレ座!!)。

 その他の注目公演も列挙になるが、オペラでは、ベルリン州立歌劇場のドヴォルザーク「ルサルカ」(ティチアーティ指揮)、ドレスデン・ゼンパーオーパーのワーグナー「トリスタンとイゾルデ」(ティーレマン指揮)、バイエルン州立歌劇場のチャイコフスキー「スペードの女王」(ショハキモフ指揮)、同ワーグナー「ローエングリン」(ロト指揮)、スカラ座のヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」(ヴィオッティ指揮)、トリノ王立歌劇場のヴェルディ「仮面舞踏会」(ムーティ指揮)、パリ・オペラ・コミークのシューベルトに基づく企画物音楽劇、オランダ国立オペラのヴェルディ「椿姫」(バッティストーニ指揮)、メトロポリタン歌劇場のヴェルディ「運命の力」などと続く。オーケストラでは、ベルリン・フィルで、ペトレンコ指揮のR.シュトラウス「家庭交響曲」と、ティーレマン指揮の何とびっくり、ブルックナー「交響曲第0番」。ケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィルのショスタコ「バビ・ヤール」、ソヒエフの振るマーラー室内管(ケルンのフィルハーモニー)、ヘンゲルブロック指揮バルタザール・ノイマン・アンサンブルとティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンのブラームス「ドイツ・レクイエム」対決。シャイー指揮コンセルトヘボウ管のシェーンベルク「グレの歌」、ラトル指揮ロンドン響のショスタコーヴィチ「交響曲第4番」等々、まだまだ紹介し切れない。ウィーンのコンツェルトハウスでは、コパチンスカヤやアルゲリッチの出演も月末に控える。
(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)