磐石の指揮者&ソリストコンビが、秋の山形を彩る
10月21日&22日、山形テルサホールの山形交響楽団 第312回定期演奏会は、客演指揮者に1940年生まれのベテラン小林研一郎(愛称:コバケン)、ヴァイオリンのソリストに、今年デビュー30周年のリサイタルを行う瀬﨑明日香を迎える。80代に入った小林は特定の音楽監督ポストやエージェントに縛られることなく、自分の納得がいく音楽を以前より淡々と奏でるようになった。中でもプロとアマチュア、ハンディキャップを持つ人々が一体の「コバケンとその仲間たちオーケストラ」(2005年結成)を通じた社会貢献は他に例のないユニークな活動で、瀬﨑はコンサートマスターの重責を担ってきた。
10月の山響定期は、小林が長く活動の拠点としてきたハンガリーの作曲家、コダーイの「ガランタ舞曲」で幕を開ける。コダーイは現在スロヴァキア領のガランタ地方で幼少期を過ごした。スロヴァキアは1993年までチェコと連合で共和国を組んでいたが、後半のメインにはチェコ側(ボヘミア地方)を代表する作曲家、ドヴォルザークの交響曲第8番を配した。いずれも民族情緒豊かな名曲であり、コバケンの歌心が冴えに冴えるはずだ。
コバケンが東からヨーロッパを描くのに対し、瀬﨑はスペインのサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、フランスのサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」と南ヨーロッパ、ラテン文化圏の作品に集中する。両者は「仲間たち」オケでもこの2曲をしばしば演奏しており、単に「息の合った」以上に白熱した音楽を披露するに違いない。
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2023年9月号より)
第312回 定期演奏会
2023.10/21(土)19:00、10/22(日)15:00 山形テルサホール
問:山響チケットサービス023-616-6607
https://www.yamakyo.or.jp