古市明里 ピアノリサイタル

地歩を固める若き俊英がヴィルトゥオジティで魅せる

(c)FUKAYA Yoshinobu / auraY2

 ピアニストの古市明里は、武蔵野音楽大学ヴィルトゥオーゾ学科、同大学大学院修士課程ヴィルトゥオーゾコースをそれぞれ首席で卒業・修了。様々なコンクールで優勝や上位入賞を重ね、キャリアを積み上げてきた。活発な演奏活動を展開しながら、後進の指導にもあたる彼女は、着実にレパートリーを広げている。

 今回のリサイタルではドビュッシーの前奏曲集第1集からの抜粋にスクリャービンの「詩曲」、そしてリストの「2つの伝説」に「死の舞踏」と、高い技巧と鮮烈な表現力が求められる作品に挑む。各作曲家は優れたピアニストでもあり、楽器の様々な可能性に着目してドラマティックな作品を残したため、いずれも魅力的な楽曲となっている。その分、内容や構成を深く理解し、色彩豊かに演奏するのは至難の業。しかし古市の鮮やかな指さばき、透明感がありつつもニュアンスに富んだ音色はそれを見事に実現し、音楽によるドラマを鮮明に届けてくれるはずだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年9月号より)

2023.10/6(金)19:00 ヤマハホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
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