パレルモ・マッシモ劇場来日公演 まもなく開幕!

 パレルモ・マッシモ劇場は、映画『ゴッドファーザー PartⅢ』の舞台となるなど、その美しい外観でも有名なイタリアを代表する劇場の一つだ。この6月には《ラ・ボエーム》《椿姫》の2作品で日本ツアーを行う。劇場総裁・芸術監督のマルコ・ベッタ、舞台装置家のフランチェスコ・ジートに、《ラ・ボエーム》ムゼッタ役のジェシカ・ヌッチオ、《椿姫》ジェルモン役のアルベルト・ガザーレが来日直前のオンライン会見を実施し、それぞれが公演に向けての想いを語った。

 今回のツアーは本来2020年6月に予定されながらもコロナ禍で3度延期された。劇場としてもパンデミック後、初の引っ越し公演となるそうで、マルコ・ベッタ総裁は「我々にとっても重要な公演」と語る。
「上演する2演目は、イタリア・オペラのスピリットを最も表す傑作で、イタリアの歴史、イタリア音楽の歴史を象徴しています。歌唱芸術、劇場芸術であり、ダイヤモンドのように輝く非常に大事な作品です。日本公演に向けてしっかりと時間をかけて準備をしてきましたし、技術チームの力で美しく、豪華な舞台に仕上がっています。この二つの大きな花束を日本に持っていくことができることが大変嬉しいです」

左:マルコ・ベッタ総裁 右:フランチェスコ・ジート

 舞台装置家のフランチェスコ・ジートは両演目の装置に加え、《椿姫》の衣裳も担当している。日本ではかつて、浅利慶太と劇団四季の舞台で共演したことがあるそうだ。
「《椿姫》はパレルモの20世紀初頭の雰囲気を残しています。当時のパレルモはコスモポリタンで、ヨーロッパの文化交流が盛んな街でした。パレルモの美しさ、季節の移り変わりを感じさせる装置で、すべて劇場の工房で作られています。
 一方の《ラ・ボエーム》は、私の友人アントネッラ・コンテが舞台装置を手掛けています。設定はプッチーニの時代で、こちらも劇場の工房で作っています。カフェ・モミュスの場面は19世紀後半のフランス絵画の雰囲気を感じてもらえますし、舞台全体を通して季節感がでるように考えています。衣裳は時代通りで、ムゼッタの衣裳がとても豪華で目を引きます。当時のスタイルにもご注目ください」

 歌手陣も、エルモネラ・ヤオ(ヴィオレッタ)& フランチェスコ・メーリ(アルフレード)の《椿姫》、アンジェラ・ゲオルギュー(ミミ)& ヴィットリオ・グリゴーロ(ロドルフォ)の《ラ・ボエーム》(東京公演)と豪華キャストが揃うが、会見に参加した二人の歌声も楽しみだ。

左:アルベルト・ガザーレ 右:ジェシカ・ヌッチオ

 ガザーレにとってジェルモン役は「私に多くの幸運を運んでくれた役」と語る。
「ジェルモンは23歳頃に初めて歌い、この役で重要な歌劇場デビューを果たしてきましたので、自分の人生経験が反映されていると思います。いつも自分らしいジェルモンを演じようと心がけていますが、偉大な演出家や指揮者との共演で、この役を演じる度に新しい面を感じます。今回の来日では、エルモネラ・ヤオ、フランチェスコ・メーリと、トップレベルの歌手たちとの共演、劇場の合唱団やオーケストラも素晴らしく、また舞台も美しいので、この作品で日本に帰ってこられることをとても嬉しく思います」

 以前より日本公演を楽しみにしていたというジェシカ・ヌッチオは、「とても美しいプロダクションで歌えるのがすごく嬉しい」と意気込む。
「ムゼッタはきまぐれで、みなに愛されるキャラクターで、私にも合うところがあります。イタリアの有名な女優ソフィア・ローレンを思い出させるような、エレガントさに大衆的でシンプルな性格で、心の広い重要なキャラクターです。簡単な役柄ではないけれど、演技がとても大事なのでそこを観ていただきたい。マッシモ劇場は自分の劇場のように感じていて、二つの大きな花束の一つとして日本に行けることが嬉しく、待ちきれません」

 イタリア・オペラの傑作をいま考えうる最高のメンバーで上演する、パレルモ・マッシモ劇場の日本公演にますます期待が高まる。

《ラ・ボエーム》 (C)Franco Lannino Studio Camera
《椿姫》(C)rosellina garbo 

パレルモ・マッシモ劇場日本公演

《ラ・ボエーム》
2023.6/15(木)18:30、6/17(土)15:00 東京文化会館
6/21(水)18:30 アクトシティ浜松
6/22(木)18:30 びわ湖ホール

6/24(土)17:00 愛知県芸術劇場 大ホール

《椿姫》
2023.6/16(金)18:30、6/18(日)15:00 東京文化会館
6/20(火)18:30 高崎芸術劇場
6/25(日)15:00 大阪/フェスティバルホール


問:コンサート・ドアーズ03-3544-4577(6/25以外)
  浜松市文化振興財団053-451-1114(6/21のみ)

  CBCテレビ事業部052-241-8118(6/24のみ)
  キョードーインフォメーション0570-200-888(6/25のみ)
https://concertdoors.com
※会場によって出演者が異なります。
※配役などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。