【CD】ショパン:忘れられた響きの発見/山名敏之

H.I.P.(歴史的情報に基づく演奏)もここに極まれりといったアルバムだ。使用楽器はショパン時代の1841年製プレイエル。山名敏之はショパン存命中に出版された作品を徹底調査し、全体の57%にはペダル指示がないことに着目、当時のカンタービレ奏法やアーティキュレーションの復元を試みる。バラード第2番や24のプレリュード全曲、舟歌などを取り上げ、響きの減衰に見合ったペダリングによる音の滲み、フレーズの細やかな切れ目、和音連打に持たせる長短のリズム語法などから、まさに「忘れられた響き」を再現する。当時の作品像を浮き彫りにする意欲的な一枚だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2026年5月号より)

【information】
CD『ショパン:忘れられた響きの発見/山名敏之』

ショパン:バラード第2番、ノクターン第13番、24のプレリュード、舟歌

山名敏之(フォルテピアノ)

コジマ録音
ALM-9289 ¥3300(税込)


飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)

音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。