ホールを飛び出し、京都のまちへ生演奏を――京都コンサートホール アウトリーチ事業の第4期登録アーティストが決定

 関西のクラシック音楽シーンの中心地のひとつ、京都コンサートホール。意欲的な主催事業を多数実施しているが、その一つが2019年度にスタートした「Join us(ジョイ・ナス)! 〜キョウト・ミュージック・アウトリーチ〜」だ。さまざまな理由でホールに足を運ぶことが難しい人や、クラシック音楽に接する機会の少ない市民に向けて生演奏を届けるもので、京都にゆかりのある若手音楽家をオーディションで「京都コンサートホール登録アーティスト」として選抜し、教育機関や福祉施設などで活動を展開している。

 これまでにヴァイオリニストの石上真由子ら計7組の音楽家が採用され、各地で演奏を行ってきた同事業。その第4期(2026・27年度)登録アーティストとして、マリンバ・打楽器奏者の柳野伽耶(やなぎの・かや)とクラリネット奏者の吉田夏希(よしだ・なつき)が選ばれたことが発表され、お披露目となる記者会見が4月21日、同ホールのアンサンブルホールムラタ(小ホール)にて行われた。

左:吉田夏希 右:柳野伽耶
©京都コンサートホール

 柳野は北海道出身。京都市立芸術大学を経て同大学院を修了、その学びの過程でアウトリーチへの関心を深めていったという。2024年度から2年間、大阪の豊中市立文化芸術センターのレジデントアーティストとして芸術普及活動に携わるなど、この分野で着実に経験を積み重ねている柳野。「打楽器は木琴やタンバリンなど、学校でもなじみの深い存在だと思います。中でもマリンバは楽器自体が大きいので、叩いた時の振動が地面を通じて身体にしっかりと伝わります。子どもたちには、温かな音色はもちろんですが、その深い響きもぜひ間近で楽しんでもらえたら」と語った。

©京都コンサートホール

 吉田は香川県出身、同じく京都市立芸術大学および同大学院で学び、アウトリーチをテーマに修士論文を執筆した。今春、修了とともに登録アーティストに選抜され、本事業とともにプロへの第一歩を踏み出すことになる。「アウトリーチに興味を持ったきっかけは、大学で参加した音楽教育プログラム。子どもたちが生の音を聴いて心を動かしている様子や、先生方がそれをともに喜んでいる姿に胸を打たれ、この活動に深く関わっていきたいと思うようになりました。クラリネットという楽器を通じて、音楽を身近な存在として感じてもらえる体験を届けることができれば」と抱負を述べた。

©京都コンサートホール

 オーディションに携わった同ホールの高野裕子プロデューサーは、今回選出された二人に共通していたポイントとして、「何よりも音楽と人が好きであること」「その思いを演奏と言葉でしっかり届けられること」などを挙げた。2026年度の活動は、市内小学校でのアウトリーチ(一人あたり10公演)、年度末にはジョイント・コンサートを予定している。確かな思いを秘めた二人の若きアーティストが、京都のまちにどのような音楽の輪を広げていくのか、今後に注目したい。

文:編集部
写真提供:京都コンサートホール

京都コンサートホール
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