サントリーホール オペラ・アカデミー修了コンサート&第7期生募集

開講30年を迎える世界レベルの研鑽の場

 プロフェッショナルとしての一歩を踏み出そうとする若い声楽家とピアニストを対象にしたサントリーホール オペラ・アカデミーが、今年で開講30周年を迎えている。スタートした1993年当時は、まだこうした若手演奏家向けのアカデミーは日本では一般的ではなく、サントリーホールによる非常に先進的な試みと受け止められたと記憶している。

 世界で活躍する一流の講師からレッスンを受ける機会は、例えば音楽祭のマスタークラスなど多数あるが、サントリーホールのオペラ・アカデミーの特徴は、受講生同士が互いの演奏を聴いて意見を述べるという研修会が無償で定期的に開催されていること。自身の演奏について他者の意見も参考にしながら分析し、考えることが成長の大きな糧となっている。2011年には、アカデミー創設時のメンバーであり、世界的テノール歌手を経て現在は指揮者・指導者として活動するジュゼッペ・サッバティーニをエグゼクティブ・ファカルティに迎え、基礎的なテクニックの習得を目指す「プリマヴェーラ・コース」を、さらに2013年には同コースの修了生がさらに深い表現に到達するための「アドバンスト・コース」を設立。アカデミーの修了生には藤原歌劇団の新しいプリマドンナとして活躍するソプラノの迫田美帆をはじめ、テノールの髙畠伸吾、ソプラノの土屋優子や中川郁文など、国内外で活躍する歌手が多数おり、その成果は着実に上がっている。

ジュゼッペ・サッバティーニ
サッバティーニによるレッスン風景

 そんなサントリーホール オペラ・アカデミーの研鑽の成果を発表する修了コンサートが、今年も7月8日にサントリーホール ブルーローズで開催される。今回は2021年から在籍しているプリマヴェーラ・コース第6期生10名、アドバンスト・コース第5期生3名の合計13名が出演。プリマヴェーラ・コース生はレッスンでのレパートリーとなっているイタリア室内歌曲を、アドバンスト・コース生は自身のレパートリーに即したオペラアリアを披露する予定。現役のアドバンスト・コース生として今年の東京・春・音楽祭で「リッカルド・ムーティintroduces 若い音楽家による《仮面舞踏会》」にリッカルド役で出演した期待のテノール石井基幾が出演することにも注目したい。

2022年「サントリーホール オペラ・アカデミーコンサート」より
石井基幾(テノール)

 また、6月1日にはプリマヴェーラ・コース第7期生の募集も開始する。「イタリア留学にも匹敵する」と言われるほど内容の濃いサントリーホール オペラ・アカデミーだ。我こそはと思う若い音楽家の皆さんは、ぜひ応募して輝かしい未来への切符を手に入れてほしい。

文:室田尚子

サントリーホール オペラ・アカデミー修了コンサート
7/8(土)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:サントリホールチケットセンター0570-55-0017
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20230708_S_2.html

オペラ・アカデミー第7期生募集
募集期間:6/1(木)~6/20(火)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/enjoymusic/academy/opera/