“日本の歌”を再発見
古楽を中心に、「うた」のジャンルを自在に横断する歌手・波多野睦美が、東西古今の歌曲を多様な切り口で集めて紹介する、王子ホールの『歌曲の変容シリーズ』。2005年の第1回以来、国や地域、時代などさまざまなテーマで、幅広い歌曲作品をひもづけしてきたが、第9回のテーマは「にほんのうた」。山田耕筰、梁田貞、越谷達之助、小林秀雄といった、新旧のいわゆる日本歌曲から、〈宵待草〉〈蘇州夜曲〉などの流行歌のジャンルに属する歌、〈月の沙漠〉などの童謡までを歌う。そして、毎回の多彩な共演者もこのシリーズの大きな特徴だ。今回はバロック・ハープの西山まりえと、ピアノにも、やはり主に古楽の分野で活躍する鈴木優人がフィーチャーされた。ごく一般的な「日本の歌」のイメージで考えれば結構意外な顔合わせと言えるだろう。大げさに言えば異種格闘技。実に興味深い。さすが! どんな新しい世界が紡ぎ出されるのか、大注目。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
11/6(木)19:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
http://www.ojihall.jp