
GW後半の東京国際フォーラムは、今年も「ラ・フォル・ジュルネ」(LFJ)一色。過去18回の累計来場者数は、なんと約923万人。大型ロックフェス顔負けのお化けイベントだ。
今回のテーマは「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)—大河」。世界の“川”をキーワードに、流域の都市や作曲家をゆるやかにつなぐ自由度の高い設定が、LFJらしいカラフルなプログラムを生み出している。
ヨーロッパ最長のドナウ川は、音楽の都ウィーンを抱えるだけに、最多の21公演に登場。シューベルト「ます」を、レミ・ジュニエ、オリヴィエ・シャルリエ、田原綾子、上野通明、水野斗希の強力メンバーで。山根一仁の「ロマンス」+福間洸太朗の「皇帝」、神尾真由子、フランソワ=フレデリック・ギィらによる「大公」など、ベートーヴェン・プロも充実だ。
シューマンといえばライン川。そのものずばりの交響曲第3番「ライン」は、角田鋼亮&仙台フィルで。
“川のクラシック”の代表格はスメタナの「モルダウ(ヴルタヴァ)」だろう。原曲のオケ版、福間洸太朗編曲のピアノ版、プソフォス弦楽四重奏団による弦楽四重奏版と、いろんなモルダウ川を聴き比べ。
セーヌ川、ロワール川からは、もちろんフランス音楽。伊藤恵と北村朋幹の師弟デュオによる2台ピアノ版「牧神の午後への前奏曲」「春の祭典」は注目。
フランス勢では、古楽アンサンブルのレ・ミュジシャン・ド・サン=ジュリアン、そして古楽とモダンを軽やかに行き来するアンサンブル・マニェティスが、ともに初来日。こちらも見逃せない。
ジャズの聖地ニューオーリンズに注ぐミシシッピ川は、熱狂のジャズ・ステージへとつながっている。
日本の川では、岐阜の美しい水の町・郡上八幡の「郡上おどり」による石井眞木作曲「流響」(1988)が、初演者でもある林英哲らにより38年ぶりに蘇る。現代音楽系では、谷口知聡が、敬愛する権代敦彦作品とフォーレの「舟歌」を交互に組み合わせた構成も気になる。また、注目度急上昇中の五十嵐薫子が、「展覧会の絵」を弾く公演に「ステュクス〜三途の川」と怖い副題を掲げたのも興味深い。おなじみ「プロムナード」は死への逍遥?
「0歳からのコンサート」や3歳以上入場可の公演など、子どもたちに注ぐ優しい視線もうれしい。家族連れでにぎわう風景もLFJの象徴だ。
全90本の有料公演は大人3,000円前後と破格。すでに先行販売が始まり、人気公演は争奪戦必至。でも、たとえチケット1枚だけでも、丸一日楽しめてしまうのがLFJのパワー。地上広場と地下ホールEでのキオスクステージや、周辺25ヵ所で開かれるエリアコンサートは、どれも無料とは思えないほどバラエティ豊か。昨年1万人以上が詰めかけた弦楽器体験「Strings EXPO」も帰ってくる。初夏の開放感のなか、街にあふれる音楽に身をゆだねる3日間。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2026年4月号より)
ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026
2026.5/3(日・祝)、5/4(月・祝)、5/5(火・祝)
東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、八重洲、日比谷
3/20(金・祝)発売
問:ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026 運営委員会事務局 lfjtokyo2026@kajimotomusic.com
https://www.lfj.jp
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
