高関健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

気鋭のソリストの情熱、オーケストラの実力を披露するドイツ名曲プロ

 高関健のタクトのもと、ますます充実度を高めている東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団だが、2023年1月の東京オペラシティでの第357回定期演奏会には、第18回ショパン国際ピアノコンクール第4位入賞を果たした小林愛実が登場するので話題となっている。

 小林が弾くのはベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。一連のベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でも「ハ短調」を採用したこの協奏曲は、堅固な構成感のなかにベートーヴェンの熱い情熱を感じさせる作品として人気だが、ショパン作品で常に情熱溢れる演奏を展開している小林が、このベートーヴェンの傑作でどんな演奏を聴かせてくれるのか、多くの音楽ファンが注目している。

 その協奏曲の前には同じくベートーヴェンの「献堂式」序曲、そして後半にはR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」が置かれた。「英雄の生涯」といえば、作曲家自身の半生をシンフォニックに描く異色の作品であるばかりでなく、コンサートマスターがソロを奏でる部分も多く、いわゆる“コンマス名曲”と呼ばれている。オーケストラの各パートにもかなりの名人芸を要求する作品で、まさにオーケストラにとっては腕の見せどころとなる作品である。高関のもと、着実に実力を高めている東京シティ・フィルの「現在」を教えてくれる演奏となるだろう。新年早々、聴き逃せないコンサートだ。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2023年1月号より)

第357回 定期演奏会 
2023.1/28(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp