パシフィックフィルハーモニア東京が新シーズンのプログラムおよび新体制を発表!

新コンサートマスターにヘンリック・ホッホシルト、髙木凜々子が就任

 11月28日、パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)が2023年度シーズン(23年4月~24年3月)のプログラムおよび新コンサートマスター、コンポーザー・イン・レジデンス就任の記者会見を行い、音楽監督の飯森範親、次期楽団長・インテンダントの二宮光由、ヴァイオリニストの髙木凜々子が出席した。

左より:二宮光由、髙木凜々子、飯森範親

 まず、来季より特別首席コンサートマスターにヘンリック・ホッホシルト、特別ソロコンサートマスターに髙木凜々子が就任することが発表された。現コンサートマスターの執行恒宏とともに3人体制となる。
 髙木はこれまでにソリストとしてPPTと3回共演(うち2回は日本初演)しており関係が深い。特別ソロコンサートマスター就任について次のように意気込みを述べた。
「PPTとの初共演は2020年秋のスタンコヴィッチのヴァイオリン協奏曲第2番でした。2度目は今年5月のメイソン・ベイツの『マザーシップ』、3度目は8月のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲でご一緒しました。団員さんは音楽への愛と情熱を持っており、一緒に演奏できるのがとても楽しみです」

 現在ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のコンサートマスターも務めるホッホシルト。寄せられたビデオレターでは「就任を控えワクワクしている。ゲヴァントハウスで受け継がれてきたものを、将来の世代に引き継いでいきたい。PPTと成功裏にスタートできることが嬉しい」とコメント。

 飯森は2人の就任について次のように期待を述べた。
「髙木さんは非常に華がある方で、ヴィルトゥオーゾな響きにはメンバーも強く共感している。オーケストラと一緒になって音楽を深くしていこうという想いがあり、そういうところに可能性を感じている」
「ホッホシルトさんは8月に客演した際、彼が一人入っただけでここまでオーケストラが変わるのかと驚いた。魔術にかかったように彼のメンタリテートな部分に吸い寄せられていくという不思議な体験をした。その後すぐにラブコールを送りました」

 また、飯森が首席指揮者を務める日本センチュリー交響楽団とオーケストラ・アライアンスが締結され、両楽団による芸術的利益追求のため4つの取り組みが行われる。

1.合同演奏会の開催
 飯森の指揮でR.シュトラウスの「アルプス交響曲」、幅広いジャンルで活躍するピアニスト・角野隼斗をソリストに迎えアダムズの「Must the Devil Have All the Good Tunes?」を両楽団の合同演奏会という形で大阪(2023.6/10)、東京(6/11)にて開催。
2.近衛秀麿企画
 2023年は近衛秀麿の生誕125年&没後50年のメモリアルイヤーであることにちなみ、近衛の編曲作品を両楽団で紹介。
3.ソリストの共同招聘
 世界的なチェロ奏者のアントニオ・メネセスを共同招聘し、日本センチュリー響はR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」、PPTはドヴォルザークの協奏曲を共演。
4.学生年間パスポートの発行とコラボレーション企画
 25歳以下の学生に限り、ひとつのパスポートで両楽団の主催公演全34公演を5000円で鑑賞可。

 併せて発表された来シーズンのプログラムは、全8回の定期演奏会のほか、恒例の練馬定期、新企画としてオペラシティ定期と名曲シリーズがラインナップされた。
 飯森は日本センチュリー響との合同演奏会(2023.6/11)、近衛秀麿生誕125年&没後50年のオマージュ公演(10/4)、来季からコンポーザー・イン・レジデンスに就任する西村朗の委嘱作品初演公演(2024.1/27)などで登壇する。客演では、バロック音楽のスペシャリスト鈴木秀美の指揮、オランダ・バッハ協会の音楽監督を務める佐藤俊介のヴァイオリンで演奏されるシューマンのヴァイオリン協奏曲(23.10/1)が注目。ほかにも牛田智大(6/24)、谷昴登(8/20)、小井土文哉(9/9)ら国内外のコンクールで活躍するピアニストが招聘されることも目を惹く。
 新体制で迎える新たなシーズン、PPTの活躍に期待したい。

定期演奏会(全8公演)

第156回
2023.5/27(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:外山雄三                          

シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調
シューベルト:交響曲第9番 ハ長調 「ザ・グレート」

第157回
6/11(日)14:00 サントリーホール
指揮:飯森範親
ピアノ:角野隼斗
合同演奏:日本センチュリー交響楽団

ジョン・アダムズ:Must the Devil Have All the Good Tunes?
R.シュトラウス:アルプス交響曲 op.64

第158回 
8/20(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:グイド・マリア・グイダ
ピアノ:谷昴登       

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83
R.シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアより」 op.16

第159回
9/9(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:オーラ・ルードナー
ピアノ:小井土文哉              

ラーション:田園組曲 op.19
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64

第160回
10/4(水)19:00 サントリーホール
指揮:飯森範親
ピアノ:松田華音                   

越天楽 (近衛秀麿による管弦楽版)
ショパン(近衛秀麿編):ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11
ムソルグスキー(近衛秀麿編):組曲「展覧会の絵」

第161回 
11/11(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:園田隆一郎
チェロ:アントニオ・メネセス            

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
ファリャ:バレエ音楽 「三角帽子」第1組曲&第2組曲

第162回  
2024.1/27(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:飯森範親
ピアノ:小菅優          

西村朗:新曲《ピアノ協奏曲》(2023年度委嘱作品)
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(ノーヴァク版・一部ハース版)

第163回 
3/2(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:ステファン・アズベリー
チェロ:宮田大       

ヘレン・グライム:ニア・ミッドナイト(日本初演)
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 op.33
ウォルトン:交響曲第1番

東京オペラシティ定期演奏会(全3公演)

第1回
2023.7/2(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
指揮:尾高忠明                          

ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
ディーリアス:歌劇《村のロメオとジュリエット》より〈楽園への道〉
エルガー:交響曲第1番 変イ長調 op.55

第2回
10/1(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
指揮:鈴木秀美
ヴァイオリン:佐藤俊介 

メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 op.90「イタリア」
シューマン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op.120(1841年原典版)

第3回
2024.2/17(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
指揮:飯森範親
ヴァイオリン:三浦文彰 

ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op.21
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 op.26
フェルディナント・リース:交響曲第1番 ニ長調 op.23

第6回 練馬定期演奏会

2023.6/24(土)14:00 武蔵野音楽大学 ベートーヴェンホール
指揮:飯森範親
ピアノ:牛田智大

ブラームス:ハンガリー舞曲第1番、第5番、第6番
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
【男と女の愛憎劇】
モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》K.527 より〈序曲〉
ビゼー:カルメン組曲第1番
マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より〈間奏曲〉
ビゼー:カルメン組曲第2番

名曲シリーズ(全2公演)

第1回
2023.4/15(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール  
指揮:太田弦

※曲目未定 

第2回
11/1(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:汐澤安彦 

グリンカ:歌劇《ルスランとリュドミラ》op.5より〈序曲〉
ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
ボロディン:歌劇《イーゴリ公》より〈ポロヴェツ人の踊り〉
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op.36

特別演奏会「第九」 

2023.12/2(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:飯森範親
ソプラノ:森麻季
メゾソプラノ:富岡明子
テノール:望月哲也
バリトン:大西宇宙
合唱:パシフィックフィルハーモニア東京クワイア

モーツァルト:交響曲第7番a ト長調 「旧ランバッハ」 K. Anh. 221
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」

パシフィックフィルハーモニア東京
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