長原幸太(ヴァイオリン) & 田村響(ピアノ) デュオ・リサイタル

大人の二重奏で迎える豊穣な年の瀬

 年の暮れに大人の二重奏を聴くのも悪くない。そう思わせてくれるのが、ヴァイオリンの長原幸太とピアノの田村響のデュオ・リサイタルだ。長原は、読売日本交響楽団のコンサートマスターを務めながら、様々な楽団のコンマス、室内楽、ソロで活躍中。田村も、2007年ロン゠ティボー国際コンクール優勝後、内外で幅広い活動を続け、ソロのみならず室内楽での絶妙な合わせも高く評価されている。共に確かな技術と多彩な表現力を併せ持ち、しかもこれまでデュオや室内楽で共演を重ねているだけに、息の合った奥深い音楽を聴かせてくれること間違いなし。モーツァルト唯一の短調ソナタ、明快で意外にテクニカルなメンデルスゾーンのソナタ、超絶技巧のパガニーニの奇想曲第24番、近代フランスを代表するサン=サーンスの豊麗なソナタと、タイプの異なる4曲が並ぶプログラムもメリハリが効いていて飽きさせない。さらに今回は、東京、大阪の両都市で公演と意気込みも十分だ。ここはひとつ、脂の乗った実力者たちのデュオを聴いて、心豊かな年末を過ごそう。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年12月号より)

2022.12/21(水)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール
12/26(月)19:00 王子ホール
問:ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ 03-3787-5106 
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