欧州の音楽シーンを席巻する若手シェフが登場
今年は特に若手指揮者の登場に注目が集まっているが、その中でおそらく最も若くして指揮者デビューを果たしたのでは、と思われるのがロシア出身のマクシム・エメリャニチェフだ。その時、なんと12歳。神童と言われたロリン・マゼールのエピソードを思い出させる。
そのエメリャニチェフが新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に登場する。プログラムはハイドンの交響曲第95番、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番(ソリストはアレクサンドル・メルニコフ)、そしてラフマニノフの「交響的舞曲」だ。
1988年生まれのエメリャニチェフは、指揮者としてはすでにスコットランド室内管、古楽の団体であるイル・ポモ・ドーロの首席指揮者を務めているほか、ロンドン・フィル、パリ管、リヨン国立管、東響などに客演を重ねており、今後はベルリン・フィルへのデビューも予定されているという。まさにヨーロッパのオーケストラがその活動に注目している指揮者である。
クルレンツィスのオペラ録音にも通奏低音奏者として参加するなど、エメリャニチェフ自身が優れたチェンバロ、フォルテピアノ奏者であることから、今回のプログラムのなかのハイドンの演奏は注目されるし、名手メルニコフとの共演、そしてラフマニノフの最後の大作とも言える「交響的舞曲」でのタクトさばきにも期待が高まる。伝説のコンサートとなるかもしれないこの公演は要チェックだ。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2022年11月号より)
第645回 定期演奏会
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
2022.11/3(木・祝)14:00 すみだトリフォニーホール
〈サントリーホール・シリーズ〉
11/4(金)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp