オリ・ムストネン ピアノ・リサイタル

北欧の鬼才が奏でる、楽聖のヴァリエーション

(c)Heikki Tuuli

 指揮者、作曲家、ピアニストそしてトゥルク・フィルの音楽監督も務め、音楽家として八面六臂の活躍を見せるオリ・ムストネン。自国フィンランドの音楽はもちろんのこと、多彩なレパートリーを持つムストネンだが、この秋のリサイタルではJ.S.バッハとベートーヴェンというドイツものに焦点を当てる。ベートーヴェンは前半に、「イギリス国歌〈神よ王を守らせたまえ〉による7つの変奏曲」を含む、5作もの変奏曲を並べる。若き日にベートーヴェンの変奏曲集のアルバムを制作しているムストネンならではの、ユニークなプログラムだ。

 バッハの「15のシンフォニア BWV787〜801」というピアノ学習者にもお馴染みの小宇宙を経由して、再びベートーヴェンへ。締めくくりは彼のソナタの最後を飾る第32番。2つの楽章で構成されるが、第2楽章は主題と5つの変奏曲からなる。ムストネンの精細で煌めくようなタッチと、変化に富んだニュアンスで、たっぷりと変奏曲の世界を楽しみたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年10月号より)

2022.10/24(月)19:00 武蔵野市民文化会館(小)
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 
http://www.pacific-concert.co.jp