第1回鵠沼音楽アカデミー
N響ゲスト・コンサートマスター 白井圭がアカデミーを開催！

　2023年2月7日（火）～11 日（土・祝）の5日間、N響ゲスト・コンサートマスターの白井圭が自身の地元・藤沢市鵠沼で全楽器を対象とした室内楽アカデミーを開催する。受講生の募集はすでに始まっており、受付は10月31日まで。これまで単発のレッスンなどの経験はあったそうだが、今回のようなまとまった形でのセッションは初という。自ら第一線で演奏活動をしている彼が思い描くアカデミーの姿について話を聞いた。

—— このアカデミーをやろうと思ったきっかけを教えてください。

　30を迎えた頃から留学によって学んだことも踏まえて、音大を卒業してもまだまだ自分を高めたい、勉強したいという人がより深く学べるところを作りたいと思っていました。そこへ自分の地元である鵠沼のレスプリ・フランセさんから、20周年を迎えるにあたって、この場所を使って地域への社会貢献ができないかと声をかけていただいたのがきっかけです。首都圏に限らず全国から若い人に集まってもらい芸術的なサポートをする場所にできたら素敵だなと考えています。

—— どのようなアカデミーですか？

　僕はヴァイオリンが専門だけど、ヴァイオリンのレッスンをしたいわけではないんです。アンサンブルをすることによって気づくこと、音楽の見方、価値をお互いに共有することを大事にしたいと思っています。なので、弦楽器だけでなくピアノ、管楽器、打楽器でもOKです。楽器の弾き方を勉強するのではなくて「音楽的に新しい体験をする」「自分たちで作った生の音楽を共有する」という場にしたい。「一緒に考えて作る」ということに興味がある人にぜひ来てもらいたいです。そしてここで身につけたことが、その先の栄養にもなるような体験にできたら嬉しいですね。自分の考えを言葉できちんと説明できて、それを演奏で表現できる力を持つことはとても重要です。

—— 全楽器を対象としたのはなぜでしょう？

　楽器の弾き方ではなく、「音楽」の話をするアカデミーなので、対象楽器を限定しなくてもいいかなと思いました。意外と自分の楽器を専門としない先生に言われたことが、強く印象に残っているということも多々ありますし。

—— このアカデミーの特徴を教えてください

　基本的には個人での参加としています。すでに活動しているグループでの参加は要相談ですが、僕が入って演奏できる編成になるかかどうかがポイントです。すでにあるグループの演奏を僕が客観的に聴いて指導するということはしません。あくまでも「一緒に演奏する」ということを前提にしています。

—— ご自身が受けに行ったアカデミーで印象に残っていることを教えてください。

　高校3年生の時に初めて参加したサイトウ・キネンの奥志賀の室内楽勉強会での小澤先生のエネルギー、ロバート・マン先生のエネルギーがすごかったです。イヴリー・ギトリスの公開レッスンでの彼の出す音は、忘れられないくらい魅力的。振り返ってみると、やはり言われたことというよりも体感したことが印象に残っていますね。

—— ご自身の地元ということですが？

　2日目以降のリハーサルを公開します。地元の方も観に来ていただいて、若い音楽家たちが何をしているのかを知ってほしいです。それが徐々に地域に浸透していって応援していただけたらありがたいですね。受講生がホームステイできるようになるとか。奨学金制度ができるとか。地元の方が若い音楽家を応援してくださる、そして彼らは音楽でそれに応える、そういうサイクルができたら理想的です。

—— 最後にメッセージをお願いします。

　「レッスンを受けにくる」という姿勢ではなく、「一緒に音楽を作る」。能動的な姿勢で臨んでもらいたいです。そして、「より良い表現の仕方」をともに考えたい。作品の中に入っていって、いろいろな実験をするイメージです。そして、自分が弾いて終わりではなくて、他にどういうアプローチの可能性があるのか他者の演奏を聴いて考えたり、みんなでテーマを決めて話し合うような時間も持ちたいと思っています。音楽に興味があって意欲的な若い人と一緒に有意義な時間を過ごせたらいいなと思います。

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レスプリ・フランセ
https://www.lesprit-francais.jp/