日本センチュリー交響楽団が、首席指揮者の飯森範親の下で2015年にスタートした「ハイドンマラソン」。104の全交響曲を8年かけて演奏、併せてCD収録を行う壮大なプロジェクトも、いよいよ終盤に。第16弾では、それぞれ30、40、50代で書かれた3曲を取り上げた。時代特有の語法や管・弦の連携、音の透明度にいっそうの磨きがかかり、ハイドンがスコアにしたためた、深い精神性に根差す愉悦や、上質な諧謔をつぶさに体現。随所に仕込まれた各楽器のソロも美しい。彼らの快演によって、着実に変化がもたらされた、わが国でのハイドン観。「継続は力」との言葉を裏付ける。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年10月号より)
【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.16/飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第51番 変ロ長調、同第28番 イ長調、同第91番 変ホ長調
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2019年11月、いずみホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00791 ¥3520(税込)