くまもと復興国際音楽祭

世界的なマエストロが自らのルーツの地で3ステージに登場!

 この秋、世界的指揮者のケント・ナガノが3年ぶりに熊本の地に帰ってくる。一昨年創設されたばかりのくまもと復興国際音楽祭のメインイベントとして、熊本県立劇場で九州交響楽団を指揮するほか、祖父の出身地である山鹿市の八千代座で2公演を行う。本来、昨年企画されていたものだが、渡航制限のために来日できず、ようやく実現する。

 ナガノが手兵ハンブルク・フィルのメンバーとともに祖父の故郷に音楽を響かせたのは2019年11月のこと。同フィルとの日本ツアーの折、オフ日にオーケストラの有志のメンバーと八千代座で熊本地震復興支援のチャリティー公演を行った。そのときの交流が縁となり、今年の音楽祭にもハンブルク・フィルのメンバーたちが参加する。九響との公演(スペシャル・アドバイザー:篠崎史紀)では、同フィルの首席奏者たちがモーツァルトの協奏交響曲 K.364の独奏を務め、メインのマーラーの交響曲第1番にも加わる。しかも、同フィルのコントラバス奏者シュテファン・シェーファーがロックダウン中に作曲した弦楽合奏のための「YAMAGA」という瞑想的で美しい作品も演奏される。

 一方、伝統ある八千代座では、ハンブルク・フィル・メンバーと山鹿少年少女合唱団とのスペシャル・コンサートに加えて、世界的なメゾソプラノ、藤村実穂子を迎えてのシェーンベルク「月に憑かれたピエロ」と新作能「月乃卯」という意欲的な二本立ても行われる。地震や豪雨からの復興を世界に発信する絶好の機会になるだろう。
文:後藤菜穂子
(ぶらあぼ2022年8月号より)

ケント・ナガノ指揮 九州交響楽団演奏会
2022.9/9(金)19:00 熊本県立劇場コンサートホール
ハンブルク・フィル・メンバーと山鹿少年少女合唱団が贈るスペシャル・コンサート
9/10(土)14:00 山鹿/八千代座
「月に憑かれたピエロ」と新作能「月乃卯」
9/11(日)14:00 山鹿/八千代座
問:くまもと復興国際音楽祭実行委員会事務局096-328-5525
  八千代座0968-43-2000(9/10, 9/11のみ)
https://www.kumamoto-irmf.com 
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトをご確認ください。