白石光隆 ピアノリサイタル Vol.35

欧米各国を巡る音の旅

(c)岩切 等

 プログラムの中にたくさんの「謎」、あるいは「問いかけ」を持ったコンサートと言えるのかもしれない。様々な機会にその演奏に接することがあるピアニスト・白石光隆が9月に開くリサイタルは、リスト編のモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」から始まり、ベートーヴェンの「悲愴」、リストの「2つの伝説」、アメリカの作曲家ボルコムの「3つのゴーストラグ」、スペインの作曲家アルベニスの「イベリア 第1集」、そしてアメリカで活躍したピアニスト、レナード・ペナリオ(1924〜2008)編曲によるJ.シュトラウスⅡの「皇帝円舞曲」が並ぶ。東京藝術大学からニューヨークのジュリアード音楽院に進んで研鑽を続けた白石らしいプログラミングとも言えるし、それぞれの作品を繋ぐ隠されたキーワードがあるとも言える。演奏を聴きながら、旅するように、彼が作り出す音の世界を一緒に歩んでいくと、その先に答えが待っているのかもしれない。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2022年8月号より)

2022.9/7(水)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
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